大人オリジナル小説
- Re: 学級崩壊【オリキャラ募集中!&2000突破!!】 ( No.400 )
- 日時: 2013/10/09 21:54
- 名前: 藍里 ◆dcuKuYSfmk
22話 新人戦 後編
「綾乃先輩!! 俺、必ず勝ちますから!!」
「うん、期待してるよ!!」
「勝ったら俺と、デートしてくださいね!!」
「う……は!?」
「約束ですからね!!」
「はぁ!?」
どうしよう、とルカを見る。
「良いんじゃね?」
爆笑するルカ。
「陽、勝て!! でも綾乃は渡さない!!」
「勝ちます!! そして綾乃先輩を奪います!!」
……ねぇ、ルカ、陽。
私の気持ちは?
私の意見は尊重されないの?
「佐々木先輩、ドンマイです」
雷ちゃんが笑う。
「陽、勝っちゃいました」
「勝つなー!! いや、嫌なワケじゃないけど勝つなー!!」
陽は背負い投げで一本勝ちだった。
ーー私が陽に一番最初に教えた背負い投げで。
『陽。いいよ、さっきの!!』
私が初めて褒めた時、陽は笑った。
「これで、綾乃先輩より強くなれましたか?」
「……もう、十分私より強いよ」
陽は、あの時と同じ台詞を言って、笑った。
「俺、勝ちましたよ。だから俺とデートしてください!!」
「……仕方ないな。いいよ」
ルカに少しでもヤキモチを焼かせたくて。
私は陽の申し出を了承した。
「明日の9時、駅前で」
「了解」
私は微笑み、応援に戻った。
「綾乃」
「ん?」
「本当にデートすんの?」
「まぁね。約束は約束だし」
「……そうか。楽しんでこいよ」
ルカは私の目を見ずに、試合を見る。
心配して欲しいのに。
嫉妬して欲しいのに。
泣きたくなって、無言で試合開場を出て行った。
「……っ……」
ぽろぽろと涙が頬を伝ってコンクリートに落ちる。
「ルカ……」
肩をふるわせて泣いていると、聞き覚えのある声が聞こえた。
「綾乃ちゃん?」
「麻里乃ちゃん……うわぁぁぁん!!」
私は麻里乃ちゃんに抱きついた。
そして、さっきのことを全て話した。
「……荒川君、一発殴ってもいーい?」
可愛らしく、彼女はおねだりする。
「良いわけないでしょ?」
私は笑った。
「……ルカのばーか」
「誰が馬鹿だって?」
「……ルカが」
「へぇ? 何俺にそんな口聞いてるの?」
「ルカに」
声だけで分かる。
ルカだ。
「ルカの馬鹿。バカバカバカバカ!!!」
私は叫ぶ。
人の目なんか気にせずに。
「……私が、陽とデートしても良いの……?」
「……約束、なんだろ」
ルカは言った。
「信じてるから」
「……私が、ルカの元を離れるわけがないって?」
「勿論」
ルカは笑う。
「……ごめんね、ルカ」
“馬鹿”って言って、ごめんね。
ルカは、私の頬にキスをした。
「仲直り。喧嘩終わり」
「……お前ら本当にバカップルだな」
「お前等もな」
いつの間にか現れていた渡辺。
そいつに向かって、ルカは笑う。
「俺ら、すっげー幸せだよ」
ルカは、私の肩を抱いて、言った。
「俺も、幸せだよ」
私達は、幸せだった。
すごく……幸せだったんだ。