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13話　別れ

ルカが先に帰り、私も後から家に帰る。
「ただいまー」
リビングに入ると、ルカの姿がない。
「……ルカ……？」
テーブルの上を見ると、一枚の置き手紙。



『別れよう』




私がルカに渡した合い鍵が、置いてある。
文字がにじんでいるのが気になった。
まるで、涙でも流したかのように。


「……そっか。私、嫌われてたんだぁ……」

ぼろぼろと流れる涙。
カッターに手が触れる。
「……再発かぁ……」
ルカと付き合ってからは、止めていたリストカット。
それに再び、手を伸ばした。
「……ルカ、大好きだったよ……」
カッターを押し当て、横に引く。
傷口から流れる紅。
それを見た瞬間、私の意識は途切れた。


(血、苦手なの忘れてたわ)



＊




「綾乃、起きたのか」
「……ルカ？」
「……ごめんな、綾乃」
ルカはそう言うと、私の唇にキスをした。
そして、玄関から出て行く。
「ルカ……!!」





そんな、夢を見た。

目を開けたら、激しい痛みが私を襲う。
「……またやったのか、私」
私は冷静に手当をしていく。
さっきのことが夢だったら、どんなに楽だろう。
「……ルカ……幸せになってね……」
私はそう呟き、指輪を外した。

神様、お願い。
ルカを幸せにしてください。
私はどうなっても構わない。
ルカは……ルカだけは、幸せに……

そう願って、私はまた眠りに落ちた。