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番外編 とりっくおあとりーと!! (綾乃視点)

「とりっくおあとりーと!!」
10月31日。
今日は、ハロウィンだ。
「相変わらず英語の発音壊滅的だな」
「いいじゃん。可愛いんだから」
前を歩くバカップルに向かって手を突き出した。
「とりっくおあとりーと!!」
「はいはい、チョコ」
「ありがとう、渡辺!!」
「あたしはガム」
「ありがとう、麻里乃ちゃん!!」
渡辺からはアーモンドチョコ。
麻里乃ちゃんからはミントのガムだ。
「お返しー」
渡辺にはイチゴチョコ。麻里乃ちゃんには抹茶チョコをあげた。
「愛する彼氏にはねだらないのかよ」
「もう帰ったし。あ、明日は陽とデートだ」
「ご褒美か」
「なにか奢ってあげないと」
私は微笑む。
「陽、何が好きなんだろー」
「佐々木があげるものならなんでもいいだろ」
「そう言われましても……」
渡辺からもらったチョコを口に放り込んだ。
「甘っ!!」
「女って甘いもの好きじゃないの?」
「苦い方が好き」
私は微笑んだ。
「じゃあ、ばいばい」
「じゃあなー」
「ばいばーい」
手を振って、2人と別れる。
2人を見ていると、どうしてもルカに会いたくなる。
麻里乃ちゃんからもらったガムを噛んだ。
「辛っ……!!」
舌にビリビリとした刺激が。
「あー、辛すぎて涙出てきた……」
頬を、一筋の涙が伝った。

(……麻里乃ちゃん。このガム……辛すぎだよ)