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十八話『楽しく。』
(陽菜視点)

あーあ……美香、いなくなっちゃった。
それにしても、凛さんは相変わらずウザい。
私がいじめられなければ美香に真実を言うのに……

……これって、私が弱いだけなのかな？

「陽菜！何考えてるのー？」

私は晴の声でビクッとした。

「あ、わわ、ごめんっ！」

「まあ、それはいいとして。」

晴は机をドンッ、と叩いた。

「まず、どこに行くか決めなきゃ。一人ずつ、行きたい所言ってねっ」

「はーい。八ツ橋の店に行きたい。」

「八ツ橋シュークリームの店に行きたい」

「抹茶ラスクが欲しい！」

「財布が欲しいー」

「んじゃあ、私は……小物屋でいいかな。」

私達は、自分のしおりの地図のページに場所を書き込んだ。

「よし！修学旅行、楽しみだねっ。」

そうだ。
美香が居なくても。
絶対楽しいに決まっている。
晴もいるんだから。

「陽菜、大丈夫？今日、何か考えている事多いねー。」

「ぐえっ！？いいいや、ううん、何でもないよっ。」

「怪しいなあー。」

私は話を逸らす事にした。

「あ、そうそう。凛さんとの話はどうなったの？」

晴はピク、と動いて、無表情になった。

「……また、帰りに。」

晴はまたいつもの表情に戻った。

「……さってと。自分の席に戻るとしますか。」

私はそう言って、席に戻った。

……本当に帰りに言ってくれるのだろうか？
心配である。