大人オリジナル小説
- Re: 学校一の純粋少女と学校一のぶりっこが友達になったようです ( No.3 )
- 日時: 2013/07/10 20:26
- 名前: 華簪 ◆vBcX/EH4b2
第一話『作り物と天然物は相容れない』
- ジョジョ時点 -
僕は、性格を作るのって悪いことじゃないと思う。
むしろ、そういうのは、愛されようとする努力の形。
そう、彼女のあの性格は、愛されようとする努力の形なんだと思うんだ。
「愛香ってさぁ、ほんと可愛いよねぇ!」
「そんなことないよぉ! 私なんか可愛くないって!」
「でも、愛香はいろんな人に好かれてるよ? 天然で可愛いからって」
「やだぁ、私そんなんじゃないって!」
僕は、ちらりと彼女を見る。
人に愛されようと頑張る彼女を、ただただ見守る。
彼女の名前は、佐倉 愛香。僕のクラスメート。
僕は、彼女の名前を覚えている。クラスメートだから、というわけではない。もっと、別の理由があるのだ。
それは、彼女の先ほどの会話から分かるように、彼女はこの学校の生徒に愛されているからだ。
彼女の名前を聞かない日はない。だからだろうか、僕がこの中学校に転校してきて、一番初めに覚えた名前は佐倉 愛香だ。
ただ、その佐倉 愛香はどんな人だったかは分からなかったけど。
今、本物を目の前にすると、学校の生徒が彼女を愛する理由も分かる気がする。
彼女は、ちゃんと愛される努力をしている。
だから、みんなもそれに応えて彼女を愛す。
「でも……。あ、ジョジョ! ジョジョはどう思う? 愛香って可愛いよね?」
僕は、突然話題を振られ、びくりと肩を震わせながらも頷いた。
「だよね! ……でも、愛香も可愛いけど、ジョジョも可愛いよねー。素直で純粋で、でも時々大人で……」
「ええと、ありがと。……でも、そんな風に褒めないでよ。僕、褒められるのには慣れてないから」
赤くなった顔を見られないように俯くと、奈菜ちゃんは僕の頭を撫でながら、可愛い、可愛いと呟く。
その時、少しだけ顔をあげると、愛香さんがこちらを睨んでいた。
まるで、僕を射抜くように。とっても、冷たい目で。