大人オリジナル小説

Re: 人間不信 ( No.1 )
日時: 2013/07/08 17:17
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo


「私と美里、大親友だよね……?」

 自分でも飽きるくらい、この言葉は自分で言った気がする。
 私って、ほら、馬鹿だからさ。取り柄とかないし、いてても空気とか思われてると思うんだ。
 私の大親友――美里は、絵が上手いって皆が褒めてる。絵が取り柄。私の大切な人。凄く気が合う。常に一緒にいる友達。
 私の……元、大親友――散は、成績が良い……らしい。元気な人で、私達三人の中で一番女子っぽい。
 でも、それだけ散は、お喋りで悪口が多い。

 中学に上がってからすぐ、私達三人は一緒に登校するようになった。
 最初は楽しかった。元親友でも、一応最近は仲良くしてたし、大切な人だって思っていたから。

「――でさ、アイツなんて言ったと思う? もうほんっと意味分かんない、死ねよ」
「あー……分かる。腹立つねそれ」
「大変だね……」

 何が死ねだよ……! その「アイツ」にも事情があるんじゃないの? なんで自分のことしか考えてないのさ。もっと考えてあげても良いんじゃないの……?
 なんて、絶対に言えない。どうせまた――――……そんなこと考えたら駄目。大切な人なんだから……。

Re: 人間不信 ( No.2 )
日時: 2013/07/08 17:44
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo


「ねえ、なんで大変だね以外言わないわけ? 馬鹿じゃん?」
「え……な、なんとなく?」

 いきなりの質問に驚く。
 それに、本当は共感なんてしてないから当たり前、とか絶対に言えない。
 ハッキリ言って、拘束された気分。本当に心から楽しいって思ってるか、心配になる。

「おはよーございまーす!」
「おはようございます……」

 学校の校門前、やっと登校時間が終わった。私は心の中で深呼吸をした。









「でさァ、すっごい腹立ったから言い返したんだ! そん時のアイツの顔、面白かったわァ……」
「ザマァ」

 あれから約一ヶ月。
 私は美里と散と登校するのが憂鬱になった。これくらいなら、大嫌いな英語の授業を五時間聞いてた方がまだマシな気がする。
 完全に間違いなく孤立状態を保っている。私に話しかけてくる時は常に、なんで話聞かないの? って言う内容。
 お前らのせいだよ、なんて言えない。よく悪口ばっかり言ってて飽きないな。
 美里も悪口にノリノリだし……。

「にしてもさ――――」

 二人がいつも通りの通学路を歩いている中、私は右の道にずれた。

「おーい! 沙織どこいくん? 馬鹿ちゃうん?」

 後ろから散の声が聞こえたけど、私は全力で無視した。あんなのと話してても楽しくもなんともない。悲しさと虚しさで心が痛むだけだ。
 あんなの、私の友達じゃない。ただの獣(けだもの)だ……!
 ねえ――美里、君なら私の気持ち、分かってくれてるよね……?

Re: 人間不信 ( No.3 )
日時: 2013/07/14 01:09
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo


 そんなこんなで完全に孤立状態を保つ生活を一ヶ月くらいしたある日の夜、メールで私は

「次から一人で行くから、二人で楽しんで学校に行ってね。今までありがとう、また気がいがあったら一緒に行こうね?」

と書いて送信した。返事は全然別の恋バナ的な物で帰ってきたけど、これで良いや。
 それからしばらくした後に
「喧嘩笑えるwww」
とか返って来たけど、間違いなくこれは美里次第では私は精神に異常が出る確率がある。
 笑いごとじゃないし、美里に言われる筋合いは全くない。

「はぁぁ――……」

 恐ろしいほどに深い溜め息を吐いた後、自分の部屋へ行って寝た。

Re: 人間不信 ( No.4 )
日時: 2013/07/14 01:40
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo


 次の日、言った通りに私は一人で登校をした。

「はぁ……」

 一人で溜め息を吐く。
 唯でさえ憂鬱な学校が余計に憂鬱になった気がする。でも、犬の遠吠えみたいな悪口が聞こえないだけまだマシって思った方が良いよね。

 いつも以上に混乱している馬鹿な脳を落ち着かせて、いつものスピードで登校をしていると……
二人がいた。
 いや、なんで? いつもより私十分くらい遅れて出たのに何故に? 意味分かんない……!

「うわ……。私いつの間に足速くなったんだろ」

 勝手に無意味な現実逃避を開始。
 気付かれたくないな、でももう後は一本道しかないんだけど……。

 仕方ない、追い抜かすか……。あのスピードで後ろにいたら遅刻するしストレス溜まるし私の精神が壊れる。
 そう思って私は二人の前を通り過ぎた。

「……!?」

 すると、散が走って私の前に来て美里に

「早く早く! 遅い!」

なんて言って手招きをする。

 この時、私の馬鹿な頭は――否、もう気付いていたんだ。
 散の悪い癖が出ちゃったんだな……。小学中学の短い期間で二回も同じ手に掛かるとか、私ってどれだけ馬鹿なんだよ。しかも同じ人に。

「また、か……。――――邪魔」

 小声でそう呟きながら私は二人の前を走って通り過ぎ、偶然にもその少し先にいたクラスメイトの方へ走って行った。

 散――あの人と喧嘩になったら、絶対に私は勝てない。勝つ方法なんてない。
 何故って? そんなの決まってるじゃないか。私とあの人の性格、分からない?
 私なんかより、あの人といた方が楽しいのは明白でしょ? 明るく、親身になるフリが得意なあの人の方が友達も多い。自然とあの人に皆はついて行く。




 この時から、私は散を友達と認識するのを止めた。

Re: 人間不信 ( No.5 )
日時: 2013/07/19 13:51
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo

 次の日の朝、美里がメールで何かを言った。
 なんでだろう、気が立ってたのかな。私は

「お願いだから先に行っといてね? 人の登校邪魔しないで。昨日の、クソ邪魔だったからさ。追いついただけでも不愉快なのに登校妨げられるとかしねって思ってしまうから」

 ここまで書いて、お母さんが

「沙織、朝ごはんー!」

と、言った。

「あ、分かったー!」

そう返事した時に、「送信」のボタンを押してしまっていたのに私は気付かなかった。




「あ、間違って送信してたんだ。私……。」

 準備が終わり、携帯を見て後悔する。

「は? ぼく何もしてないから。嫌なら君が早い時間に行けば良いじゃんw ていうかホントぼく邪魔とかしてないから。てか前からうざいって思ってたし、絶交ね☆ 沙織ホント性格終わってるね……何なの? (ねよ くっそ笑える。じゃあバイバイ☆」

 完全に誤解された。いや、多分私の本心かもしれないけど。いや、間違いなく本音だから誤解って言うか本当だけど。まさか自分のコミュショーがここまで悲惨なエンドを齎(もたら)すなんて思いもしなかった。

「あはは……っ」

 携帯を見ながら笑みと涙が同時に出る。
 親友って信じてた君に、そこまで思われてるなんて思わなかったよ。

 あぁ、でも……。
 それが君の本音なんだったら私は良いよ。もう良いよ。所詮、君も獣だ。
 なんて、私の台詞じゃないか。

 私はその日、ショックで中学校に着いた頃には一時間目が始まっていた。

Re: 人間不信 ( No.6 )
日時: 2013/08/02 22:43
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo

スマホでポチポチしてます。

そして皆様に謝罪の言葉。


『軽く実話とか言ってごめんなさい。上のは全部実話です!』


メールとラインの差はありますけどね。名前も。
 美里からの返事もラインにあったのそのまま名前だけ変えてうつしました。無論沙織のところも。


 うん。アドバイス欲しいです。
 あと紅雪ははっちゃけてることが多いのでコメントとかも大歓迎です!!

Re: 人間不信 ( No.7 )
日時: 2013/08/04 16:20
名前: 華簪 ◆vBcX/EH4b2

こんにちは〜。
二度目まして……だと思います多分((

親友なんていなかった僕には、裏切りとかは無縁ですが、なんだかぞっとする話ですね。

人の悪口合戦はよくあることですが、それを延々と聞かされるのは嫌なものです。
僕は本人の前で言うから、なお嫌な奴でしょうけど((
それと、それを嫌だと思いながらも、のらくらかわすのも嫌なものですよね。
しかも、逆らったら何をされるか分からない。
そして、メールを送信した後の返事に、一番ぞっとしました。

普通に書かれているならまだしも、星を使ったり、wを使ったりしているところが、残酷で、それでいて恐ろしく感じました。
まるで、悪いことを言って、相手を傷つけることに抵抗を感じていないように感じました。


これが全部実話だと書かれているのを見て、ますますぞっとします。
どうか、これからも、頑張って生きてください。

Re: 人間不信 ( No.8 )
日時: 2013/08/11 12:52
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo

華簪さん>>

 今気付くという怪奇現象ww←
 こんにちは! コメントありがとうございます!!

 なんか……僕的には親友いない方が良いような気もしますね←
 同じ人に二回裏切られて同じ罠にかかる沙織の馬鹿らしさもゾッとしますね、自分で←ぉぃ

 まあ、少しの悪口聞くので頭痛くなるような僕は終わってますけどねw← 言うのは罪悪感はあるけど本人に言っちゃうタイプなので←
 いえいえw お婆ちゃんが言ってましたよ。
「嫌なことは伝えろ!」
と。そのお婆ちゃんは今膝と腰を悪くしてます。僕は当たり前のようにパソコンしてますがw←ぉぃ
 のらくら……そうです。行きたいんですけど逆らうといじめが酷くなると言うw←(のらくらの意味調べましたw)
 あー……、僕もゾッとしましたそこは……。今まで来た荒らし以上にゾッとしました。

 なんと言うか「流石美里。小説評判良いだけある」とか思いました。現☆実☆逃☆避☆ですねw←ぅゎぁ
 最初は「(ねよ」の意味分からなかったんですけど、書くときに「しねよ」って書いてあるのが分かって「謎が解けた感」的なものと恐怖が襲ってきましたねw 気付かなかった自分にも恐怖。
 慣れって凄い……と思う僕がいましたw←

 実話です★←
 読み返しながら嘔吐しそう……←でも事実

 生きるのは頑張ります!! 生きる希望発見しましたのでっ!!
 勿論リアルもパソコンもw←ただし勉強は駄目

 華簪さんも頑張って下さい!!(今更ですが、「華簪」ってなんて読むんですか?←ごめんなさい)

Re: 人間不信 ( No.9 )
日時: 2013/08/27 18:25
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo
参照: 久しぶりですね、更新するの……。


 一時間目はプール。
 たまたま生理中だったから、見学だった。多分、ソレがなくっても見学させて貰っただろうな……。
 とりあえず職員室で先生に事情(腹痛ということにして貰った)を説明して、プールへ向かった。




「うおっ、お前いつから来てた!?」
「ん? んー……9時10分頃?」
「へえー……」

 前にいた男子と二時間目が始まる直前に話した。
 この時は、もう、泣いてはいなかった……と思う。

Re: 人間不信 ( No.10 )
日時: 2013/08/27 19:00
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo
参照: 久しぶりですね、更新するの……。


「沙織ーっ、ご飯一緒食べよーっ!!」

 教室の大分端っこの方から声が聞こえる。声のした方を向く。
 そこには黒いストレートの髪を二つ結びにした女子……。……――誰?

「えあ、んー……」

 思い出した。小学校一緒だったな、あのメンバー。声の主は、空(そら)……ちゃんだと思う。多分。
 ――私みたいなのがあっちの楽しそうなグループ入って大丈夫かな。普通に無視されそうなんだけど大丈夫かな……。
 ――良いやもうこれで行こう。うん。別の友達とかも一応見つけといた方が良いかもしれないし。
 多分、あんなことがあった以上、謝ったとしても許してくれない確率が高い。独りになるよりは……ね。
 この日から、私はそのグループのメンバーと一緒に昼食を食べることにした。

Re: 人間不信 ( No.11 )
日時: 2013/08/27 19:19
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo
参照: 妹の鍵を探してました。


<私と散は、はっきり言って合わないから――――>

 よし。手紙出来た。
 今は五時間目の授業の真最中。にも拘らず私は美里に手紙を書いていた。
 今朝のことについての謝罪。相手の反応もアレだったかもしれないけど、私の方も言い方が悪かったと思ったから。
 それと、私と散の関係。昔、散に……いじめを受けていたこと。
 最後には、私と仲直りをしてくれるとしたら、散と私のどちらを選ぶか。私はもう、散と一緒にいたくない。その一心で。

 幸い、先生にはばれなかった。後は、この手紙を美里に渡すだけ。
 私は授業が終わるのをいつも以上に待っていた。目の下が少し濡れてる。多分、涙目なんだろう。先生に心配を掛けたら駄目だ。そう思い、私は手で涙を拭った。




「そう……いないんだ。じゃあ、これを美里の筆箱の中に入れといてくれない?」
「え、良いよ? ね、中見て良い?」
「絶対見ないで!! とりあえず入れといて!!」
「う、うん」

 美里のクラスメイトにそう頼んで授業中に書いた手紙を差し出した。
 その子が美里の筆箱に手紙を入れるのを見てから私は自分の教室に戻った。席に着いた瞬間、六時間目のチャイムが鳴った。

Re: 人間不信 ( No.12 )
日時: 2013/08/27 20:04
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo
参照: 妹の鍵を探してました。


 ――部活。私のリラックスできる時間。

「大丈夫。大丈夫……」

 無意識にそう呟いていると、美里と散が来た。美里は窓から私に5センチのメモ帳みたいな紙を投げた。
 中を見る。

<こっちも朝ムカムカしてたからあんなこと言っちゃった、ごめんね? これからも4649!!>

 ……許してくれたのは別に良いし、これからも4649も別に良い。私が今思ったことは唯一つ。
 ――――選べなかったか。
 だよね、君もそう言えば私に並ぶ純粋な優柔不断だったよね。うん、ピンポイントでそこ忘れてたよ。

「……じゃあ、これからもよろしくね? ありがとう」

 嘘の笑いを浮かべ、私は部室――美術室に入ってきた美里に言った。
 美里も笑ってたけど、本当に、「これからも4649」が実現出来るか分からない。
 今、私が出来ることは一つ。美里を信じること、だと思う――な……。