大人オリジナル小説
- Re: こころ。 ( No.1 )
- 日時: 2013/10/14 18:46
- 名前: 藍里 ◆dcuKuYSfmk
1話 宿命とギター
私はいつも、独りぼっち。
産まれたときから、忌み嫌われて。
独りぼっちで生きてきた。
――いや、いじめられている時だけは、独りじゃない。
私を見ている誰かが居る。
そう思うだけで、苦痛だった時間が、少しだけ苦痛じゃなくなるような気がした。
「――いってきます」
誰も居ない部屋に、挨拶をする。
黒い髪の毛を掻き上げ、今日も学校へ向かった。
独りじゃなくなる場所へと。
「おっはよー!! く・ろ・ば・さん♪」
茶色の髪の少女が、私を殴る。
その度に、独りじゃないと実感する。
痛いし、辛いし、哀しい。
でも、無視される方が辛い。
家でも、学校でも独りぼっちだなんて……冗談じゃない。
あっけなく感じるような。
とても長く感じるような。
独りぼっちじゃない時間は終わった。
痛む身体を起こし、髪をとかし、眼帯を付け。
教室ではなく、屋上へと向かった。
背負っていたギターを床に降ろし、自分も座る。
傷ついた身体を癒す為、私はギターを弾いた。
私――黒羽冥《クロバメイ》は、何故か涙を流していた。
苦しいのか、辛いのか、哀しいのか分からない。
不思議な涙を。
綺麗な机が並んでいる。
でも、1つだけ汚い机があった。
窓際の一番後ろの机。
その机が、私の席だった。
マジックで大きく“死ね”と書かれていた。
死ぬのは御免よ。
この世界は、嫌いじゃないから。
「うっわー、酷いなぁ。黒羽、お前……哀しくないのか?」
見知らぬ少年が私の肩に触れる。
私は無言でそれを払った。
「ねぇ、秋〜。こっちおいでよ!! そんな女に構わないでさ!!」
朝から私を殴った少女は、甘い顔と声で少年を誘う。
秋《シュウ》と呼ばれた少年は、へらへらと笑う。
「俺、いじめする奴嫌い。平和主義者なんだわ〜」
なんて珍しい奴。
私に関わるなんて。
いつもなら気持ち悪いと思うのに、何故か気持ち悪くないと思った。
(「だから俺、お前等嫌い」)
(そう言って、馬鹿な男はへらへら笑った)