大人オリジナル小説
- Re: 疲れた。いじめ。虐待。 ( No.13 )
- 日時: 2014/01/18 11:53
- 名前: ショコラ
第5話 [イジメられてるように見えないテクニックですか。]
はぁ。どうしよう。
私の制服はモノにならない。先生が来るまでにも時間がかかる。今は・・・。
6;10か。先生が来るには、あと50分待たなきゃいけない。
すると、優南がかけよってきた。背筋に冷水を垂らしたかのように寒気がする。背筋が凍った。
「どーしたの?!」優南は叫ぶ。
ああ、演技派とはこのことか。
周りからは優南が本気で心配しているように見える。今までの心友だった経験と、優南の演技力に騙されて。
ここで、言えない。だって、優南の目の前で言ったりすれば。
殺サレル。絶対ニ死ヌ。
「・・・」私は演技に付き合えず、黙り込んでしまった。
私は・・・・
演技ができないんだ。
「先生、先生読んでくるから!動かないで、黙っててね!!!」優南はいかにも善人そうに言った。でも、偽人善人・・・。より酷いヤツだ。
「黙っててね!!!」これは、私を心配して言っているワケじゃない。わかってる。
このクラスのヒト達に、言うなってコトでしょ?言うわけないじゃん。
私は命が惜しい。カッコよくなんていられない。されるがままにしておけば、終わるかもしれないのに、長引かせ、下手すれば命を脅かす、そんなことはしない。バカじゃない。
そんなことを考えていると、良香先生(リョウコ)と優南が小走りでやってきた。
「どうしたって、言うの・・・?」良香先生は私をジッと見つめた。
「制服がですね・・・。アノ・・・・」私はなんて言っていいのやら、分からなくなった。
「うん、わかってるわ。口止めされていたら、ムリに言う必要はないわ。先生が首を突っ込んでも、アナタに不幸が訪れるだけだもの。悪質な・・・イジメ・・・って、見られるわね」
良香先生は、無関心のように思われるが、イジメ経験者なのだ。私と同じ、高校位の頃、いじめられていたらしい。
先生が首を突っ込んだら、悪化するだけ。そう、わかっているのだ。
「・・・ジャージに着替えなさい?持ってきているわね。」良香先生は、私の手持ちのジャージを入れている袋をみて、笑いかけた。
「待ってください、先生。」優南が手をあげた。
「私、制服二着持ってるんです。お・・・妹の。それ、貸しますよ。」優南は笑う。お姉ちゃんと、言いかけたらしい。
「ああ・・・。それなら、そっちの方がいいわ。さすが心友ね。優しいわっ。」
優南は「優しい」と聞いてにやりと笑った。
優南は私に歩み寄って、恐ろしい笑みを浮かべて見せた。
「ハイ。コレ!」私に渡したのは、普通の制服だった。
「死んだ妹なんです。」良香先生の不自然な目線を感じて、優南は急いで付け加えた。
その制服は乾いている。しっかりと天日干しされている。
しかし、心地よくは無かった。ひどい悪臭がする。
血生臭い ニオイがする。