大人オリジナル小説
- Re: 言って、行って、逝って ( No.2 )
- 日時: 2014/02/01 15:36
- 名前: 赤林檎♪
【白哉(びゃくや)】
消えた君を探して、何もできない自分に苛立って、僕は死のうとだって思った。そこまで考えて、ああきっと君たちもこんなことを考えて消えてしまったのかな、と思う。
君の事、何も知らなかった、知ろうとしてなかった、分かってあげられなかった。何も言えなかった、聞いていなかった、話せなかった。
言いたかった事なんて、今考えればいくらでも浮かんでくる。
ああ、お願いだから、出てきてくれよ、紅月、紅音。
君たちが来なくなってから、もうしばらく経つんだ。
ふぅ、と息を吐き、二人の居ない教室を見回す。
「何時もなら、一緒に帰ってる頃だ」
言って、少し悲しくなって、呟く。
「今日ね、君たちを探しに行くんだ」
そっと、廊下に出た。
空を向いた窓から入ってきた光に振り向くと、沈みかけた太陽が、僕を笑っている気がした。
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