大人オリジナル小説

Re: 生きる意味とはーいじめー ( No.22 )
日時: 2014/08/21 14:17
名前: ラビット


「ただいま…」

私は誰もいない家の中でそう呟くように言った。

誰もいない家…

ただ時計の針が動く音がする。

するとふと、タンスの上にある家族4人で笑っている写真が目にとまった。

家族4人で笑ったのは何年ぶりだろう…


私の家族は、母と父と妹がいた。

今私は、母と二人暮らしをしている。

母は毎日のように夜遅くまで仕事だ。

父は私が小さい頃に離婚した。

そして妹はというと…














いじめが原因で自殺したのだ。


名前は、紀香(のりか)。

紀香は私と違って、活発で皆の人気者だった。

全然気づかなかった

紀香がいじめられてるなんて…

いや、きっと紀香は気づかれたくなかったんだ

自分がいじめられてる事を

今の私みたいに…


紀香が自殺した時から私はいじめられた。

理由はただ、面白いから。

人をいじめて何が楽しい?

人が苦しんでいるのを見て楽しいの?

何の罪もない紀香を殺して置いて、のうのうと生きている奴らが許せない。


『お姉ちゃんっ!』

そう笑顔で言う妹の声が聞こえた気がした。

もう一度会いたいよ…








紀香っ……


◆ ・ ◇ ・ ◆ ・ ◇ ・ ◆ ・ ◇ ・ ◆ ・ ◇ ・ ◆

気がつくと、テーブルの上で寝てしまっていた。

時計を見ると、7時になっていた。

目にはなぜか涙がたまっている。

紀香に会えるわけないよね…

そう思っていると、


ピーポーン

家のチャイムが鳴った。

きっと、母だ。

いつもは11時ぐらいに帰って来るが、今日は特別に早く帰ってくる。

ガチャ

ドアを開けると、野菜などの大荷物を持っている母の姿があった。

「お母さんおかえりっ、これ持つよ?」

私は微笑みながらそう言った。

私がいじめられてる事は、もちろん誰にも言ってない。

母に心配を掛けたくないから…

「ありがとう実亜、いつもありがとね」

母はそう申し訳なさそうに言った。

「夕飯作るのも手伝うよ?」

「ありがとう、でも勉強もあるでしょ?」

「勉強なら大丈夫」

そう言って、荷物をキッチンの側まで持って行く。

「本当にいいのよ?」

「大丈夫よ」

私はそう言って野菜を洗い始めた。

するとふと、母が私の手を見て驚いたように言った。

「実亜、その手どうしたの?」

ドキッ

私はその母の言葉に、とっさに手を隠した。

見ると、朝ボールを当てられた手が青くなっている。

「か、帰る時に転んじゃって…」

「あら……そうなの?」

母は不思議そうに言うと、もう一度実亜を見た。

「何かあったら言うのよ?」

「うん…」

私は曖昧に笑って頷いた。



ねぇ、お母さん…

私いじめられてるの…


そう言いたいのに言えない

“ 母に心配を掛けなくないから…”

なにそれ?

綺麗事?

本当は気付いて欲しいくせに







お母さん気付いてよ…


私、もう生きる勇気がないよ…


第1話 * 終わり*