大人オリジナル小説

Re: いじめ〜いつか笑える日を夢見て〜 ( No.12 )
日時: 2014/07/24 18:12
名前: エリン

〜第二章〜
朝になった。
「じゃあ、もう行くね。」
「あら、随分早いわね?」
「うん。部活の朝練だから。」
「そう。気をつけてね。」
「うん。行ってきます。」
お母さんに部活の朝練と告げて家を出た。
いじめが本格的に始まる…
そう思うと本当に気分が落ち込んだ。
でも、やらないわけにはいかない。
なぜなら、純ちゃんに逆らう勇気なんて私にはないから。
これからどうなるのか検討もつかないが、一つだけ分かることがある。
それは、『いじめは簡単には終わらない』ということだ。
純ちゃんは、ターゲットが泣いたり、助けを求めたりするのを見て楽しむ。
そして、自分が満足すればいじめを終わらせるのだ。
逆に、ターゲットが冷静でいればいるほど余計に怒りを買うのだ。
そして、どんどんいじめの内容が酷くなっていくのだ。
弱いか強いか。
それがターゲットの運命を左右する。
弱いか強いかで言えば春ちゃんは間違いなく後者だ。
春ちゃんは本当に強い。
助けを求めることなんかまず無い。
何でも自分で解決してしまう。
それから、泣くことも無いだろう。
実際、私も春ちゃんが泣いてるところを見たことはない。
球技大会で負けてみんなが悔し泣きをしてる時でも泣かなかったし、怖いと評判の先生に怒られた時もへっちゃらだった。
もし、春ちゃんがいじめに対してもそのような態度で挑めば純ちゃんの怒りを買うことは間違いないだろう。
そうすれば必然的にいじめは長引くだろう。
いくら強い春ちゃんでも心配だ。
そんなことを考えてる内に、リリ達との待ち合わせ場所についた。
3人はもうすでに到着していた。
「おはよう。」
『おはよう。』
私が挨拶をすると、3人も返してくれた。
裕香がポツリと呟いた。
「これからどうなっちゃうのかな?」
「分かんない…」
裕香の言葉に答える私。
「春ちゃんの苦しむ姿なんて見ていられないよ…」
リリがそう言った。
「でも、仕方ないよ。私達が悪いわけじゃないし。」
小百が言った。
「でも…!!」
リリが何か反論しようとした時、学校に着いた。
そのまま教室に向かう。
ガラガラ
ドアを開けると、数人のクラスメイトがいた。
今は、6時55分。
集合時間まで後5分だ。
その後、どんどんクラスメイトが教室に来た。
その中には今井ちゃんもいた。
「今井ちゃん!!」
私が呼び掛けると今井ちゃんはこっちに来た。
『おはよう。』
「おはよう。」
今井ちゃんと挨拶を交わしていると、クラスの中心人物が来た。
「みんな、おはよう♪」
「おはよう〜」
笑顔で入って来たのは純ちゃんと葉月ちゃんだ。
純ちゃんはみんながいることを確認すると、ニヤリと笑って言った。
「それじゃあ、準備を始めようか♪」
『うん!!』
みんなが一斉に返事をする。
「じゃあ、そこのバケツ2つに水を組んできて。1つは扉用。もう1つはロッカー用♪」
どうやらロッカー用を追加したらしい。
どこまでやりたいんだろう…
「それから、教科書とかノートをビリビリに破いて、ゴミ箱の奥底に入れちゃって♪上には、私と葉月が持ってきた生ゴミを捨てるね♪」
そう言って純ちゃんと葉月ちゃんがゴミ袋をみんなに見せる。
あの中に生ゴミが入っているのだろう。
「じゃあ、みんなお願いね〜」
純ちゃんの言葉を合図にみんなが一斉に動き出す。
私達も教科書を机から取り出してページの真ん中から引き裂いた。
春ちゃん、本当にごめんなさい……
準備をすること20分。
全ての作業が終わった。
「みんな凄い!!最高だよ!!ありがとね♪」
純ちゃんが嬉しそうに言う。
それから、15分後。
ガラガラとドアが開いた。
その瞬間。
バッシャーーン!!
盛大な水の音が教室中に響き渡った。
かかったのは、もちろん春ちゃん。
呆然と立ち尽くしている。
クスクスクス
教室から小さな笑い声が上がる。
「どういうこと?」
春ちゃんがクラスのみんなに聞いた。
当然答える者はいない。
眉を潜めながら教室に入ってくる春ちゃん。
そして、自分の席まで行くと机の中から教科書を取り出そうとした。
だが、当然あるわけもない。
教科書もノートも全てゴミ箱の中なのだから。
教科書がないことに気づいた春ちゃんはみんなに聞いた。
「ねえ、ウチの教科書知らない?」
そう聞いても答えは返ってこない。
諦めた春ちゃんはロッカーに向かった。
そして、ロッカーを開けた瞬間……
大量の水が流れてきた。
「えっ……?」
驚いているのが背中越しでも分かる。
「ねえ、どういうこと!!」
とうとう叫ぶ春ちゃん。
すると、純ちゃんが一言言った。
「ウザイ」
その言葉にハッとした表情になる春ちゃん。
何かに気づいたみたいだ。
「ねえ、そこ掃除してくれない?教室が水浸しになっちゃう。」
春ちゃんを睨みながらそう言う純ちゃん。
春ちゃんは無言で雑巾を取ると床を拭き始めた。
床を拭き終わると先生が入ってきた。
「席について!!」
その言葉でみんな席につく。
春ちゃんも無言で席に戻った。