大人オリジナル小説
- Re: いじめ〜いつか笑える日を夢見て〜 ( No.39 )
- 日時: 2014/08/25 00:54
- 名前: エリン
春side
蹴られてた時の記憶はほとんどない。
気づいたらクラスメイトはみんな帰っていて、ウチだけが教室にいた。
考えられなかった。
みんながウチのこと騙してたなんて。
ううん、違う。
みんなが騙してたんじゃない。
ウチが勝手に騙されてたんだ。
「ははは…」
何だか笑えた。
よく考えれば分かったことだった。
川野に逆らえる人なんていない。
川野は、このクラスの女王なんだから。
そんなことにも気づかなかったなんて馬鹿だ。
本当の馬鹿は川野じゃなくてウチなのかもしれない。
でも、どんなに馬鹿でもいいからみんなのことだけは信じたかった。
もうそれも無理かもしれないけど。
ポツ
不意に手の上に滴が落ちてきた。
それを見て思う。
ウチ、泣いてるんだ。
泣くつもりなんてなかったのに……
本当、馬鹿だな。
手で目頭を拭う。
しかし、涙は止まらない。
それどころか更に溢れてくる。
「うぅっ…… 」
嗚咽が漏れる。
もう限界だった。
これ以上耐えられない。
本当は初めから辛かった。
川野がボールをぶつけてきた時からずっと。
でも、それを認めたくない。
その一心で強がってた。
でも、心は強くない。
だから、みんなに本当のことを言われてショックで泣くんだ。
「…たす…けて…」
本音を絞り出す。
この願いが叶うことはないけど。
ウチは誰もいない教室で一人涙を流していた……
春side終わり
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