大人オリジナル小説
- 入学式の準備 ( No.1 )
- 日時: 2026/03/02 18:39
- 名前: フルペディ ◆RzWJJvnJTo
世の中には俗語の意味を知る者と知らない者が居る。
ここ、H中学校は殆どの人が認識している「H」の意味を知らない残念な者が毎年、通う学校だ。
最初から、ここがどんな学校か知っていれば、犠牲者が現れることも無かっただろうに……。
私の名前は翠(すい)。これから中学生になる。
昨年の12月に届いた中学校就学通知書ではH中学校を指定した。
H中学校は、私が通っていた小学校に近くて、同じ学区の友達がそのまま上がってきた感じだから、別に不安とかはない。寧ろどんなところか少し、ワクワクする気分もある。
初めての制服に袖を通す。
うわブカブカ……。なんか変な感じ……。
でもH中学校の制服は、他の中学校に劣らず可愛かった。
大きな襟、紺色のブラウスにブレザー、ふわっとした軽いスカート……。特に可笑しな点はない普通の制服だったが、私にはそれがよかった。
これから始まる生活に、胸を膨らませ外を歩く。
「翠〜」
通学路で声を掛けられる。この子は心桜。私と同級生で、小学校の頃からの友達だ。
「心桜、久しぶり〜」
そういえば心桜と話すのも、春休み以来だ。
「元気だった〜?」
「うん、あのさぁ〜」
久々の会話に緊張も解れる。入学式前、心桜に会えて本当に良かった。
私たちは、体育館へと向かう。
「翠、さくらだよ!」
「ほんとだ」
こうして桜を見るのも1年ぶり。
桜を見ると同時に、ここの校庭は、小学校の校庭に比べ広いことに気が付く。
「あれ……なんだろ」
校庭の片隅に、小さな倉庫があった。その倉庫は古そうで、今も使われているのか怪しい。
「さあ、用具倉庫とかじゃない?」
それにしては周囲が木に囲まれていて、まるで外から見えないように囲ってるみたいだなと思ったけど、特に可笑しいとは感じられなかった。この学校のことは、まだそんなに知らないし、昔そういう施設もあったんだろうな、くらいにしか思わなかった。
体育館に入ると、そこには懐かしい友達の姿があった。
(みんな……緊張してるんだろうな……)
声を掛けたい気持ちは抑え、私は心桜と離れて静かに座った。
(それにしても何だろう……下から変な風が……)
外に出た時は、風なんかなかったし、それを感じるのも足のほうだけだ。生足だから余計に寒いのかもしれない。体育館は小学校の時だって、寒かったりしたし。それに午前中で終わるだろう。
そんなことを考えているうちに、寒さは段々気にならなくなってきた。
そして入学式が開始された。
