大人オリジナル小説
- 入学式 ( No.2 )
- 日時: 2026/03/02 19:21
- 名前: フルペディ ◆RzWJJvnJTo
一部の人は、こういうの緊張するのかもしれない。でも私からしたら小学校の時と同じメンバーだし、環境が変わることも、そんなに嫌じゃないし、どちらかと言えば早く終わってほしいくらいだった。
「H中学校へようこそ、未熟な子供たち。此処は未熟な生徒を、Hの力で育て上げる革新的な学校です」
Hの力?なんだそれ?
Hが何の略かもわからない我々にとっては、つまらない話だった。
後ろの方(保護者)から、コソコソ話が聞こえてくる。
「静粛に!保護者の皆さん、これからのことに心配する気持ちは分かります。ですが私たち教師一同も、なるべく全力で生徒を見ていきますので、どうか見守っててください!」
校長の話には、何処か焦った様子があった。保護者に疑われることは、学校側にとって恐らく不都合なんだろう。さっきまでの声が次第に薄れていく。
校長が一通り言い終えた後、何事もなく入学式は幕を閉じた。ところどころ不審に感じる箇所はあったが、それについて追及したいとは思わなかった。初日は、とにかく家に帰ることで頭が一杯だったのだ。
そして次の日、いよいよ中学校最初の登校日となる。
「翠ちゃん、おはよ〜!」
「おはよ〜!」
心桜が駆け寄ってきた。
「体育館、寒くなかった?」
「うん……、でも此の服装だから仕方ないのかな」
まあ寒いのは体育館に居る時だけで、それ以外は日差しがあって春って感じだったから。
「あっ!翠と私、同じクラスだ!」
「ほんとだ」
玄関に貼られた張り紙、私と心桜は1組だった。小学校の時は、一度も違うクラスになったことが無かった私たち。中学校でも同じクラスだったので何だかほっとする。
「やったっ!ね、翠、早くいこ!」
「え、あ、ちょっと……」
私は心桜に引っ張られる。違う友達のところも見たかったのにな。
「ぁ……!」
「?翠、なんか言った?」
「ううん、何も言ってない」
何処かから、生徒が喘ぐような、幼く小さい声が聞こえた気がした。
Hの力といい、色々分からないところはあるけど、あとで分かる。そういうものだと思う。
私たちは準備を終え、席に座る。朝の会は8時、今の時間は7時50分だから、まだ余裕がある。
(んっ……)
席に座った途端、何かが秘部に当たったような気がした。
「ねぇ、この椅子なんか変じゃない……?」
私は心桜に尋ねる。
「うん……うまく言えないけど、とても嫌な気分……」
何が起こっているのか分からず、とりあえず席から立つ。すると嫌な刺激は収まった。
この椅子が原因だ。そう思い、椅子のお尻部分を調べてみると、男性器を模したような突起が付いていた。これが秘部を刺激していたのだ。
「これのせいか……ねぇ、これ取っていいかな……?」
「駄目じゃない……?勝手に取ったら怒られそう……」
私たちは意味不明な、この物体に怯えることしか出来ずにいた。
周囲を見ると、他の女子の椅子も同じ仕組みになっているようで、しばらく固まっていると、先生が教室に来た。
「女子、早く座りなさい」
その先生は女性だった。眼鏡をかけていて、年齢は20代くらいに見えた。
「先生……あの、この椅子変なんです……」
一人の女子が声を上げる。
「それはそうよ、入学式の時言われたでしょ?此処は未熟な生徒を、Hの力で育て上げるって。それもHの力の一つよ、いいから座りなさい」
先生は、朝の会を早く始めたいみたいだった。しかし私たちも、これは初めて。
女子が座らねば進められないことが分かっていながらも、私たちは硬直常態だった。
「……座らないと全員、評価Cにするよ?」
そう言われ、複数人が諦めて座る。同調圧力により他の女子も座り始めた。
私も仕方なく、これに耐えることにした。相変わらず嫌らしいものだ。まさか、これがHの力とは……。
「いい、貴方たちは毎日、それに座るの。だから慣れてもらわないといけないのよ。それに、ここには貴方たちが知ってる以外にも、Hの力に関わるものが沢山あるの。小学校の雰囲気じゃ、ここはもっと辛くなるんだからね」
そう忠告されたが、Hの力自体、まだよく分かっていないし、辛くなるというのがどういうことかも、ちゃんと分かっていなかった。本当に、この学校は分からないことだらけだ。
