大人オリジナル小説
- 無題(題名、募集中です!!)
- 日時: 2011/04/15 20:18
- 名前: 等身大りある、と申します。
初めまして。
今回、初めていじめ小説を書かせて頂く者です。
いじめの描写がありますが、いじめを正当化したり、助長したりするようなことはいたしません。
アドバイス・コメントいただけると嬉しいです。
荒らしや中傷は、スルーでお願いします。
- Re: 無題(題名、募集中です!!) ( No.4 )
- 日時: 2011/04/16 11:33
- 名前: 等身大りある、と申します。
第二話『臆病者』
着替えてから、
「おはよう」
と言って、私はダイニングテーブルについた。
お母さんは「おはよう」と返してくれたが、妹の和葉は、目をあわせようともしなかった。
「和葉、ちゃんと挨拶しなさい! 今日は高校の入学式でしょう!」
と、お母さんが和葉に怒鳴る。
しかし、和葉は黙ったままだ。
「ちょっと和葉!!」
「お母さん、ちょっと……」
お母さんをなだめようと、私は椅子から立ち上がりかけた。
そこで、和葉はやっと、
「ああ、気付かなかった。おはよう」
と、抑揚のない口調で返した。
いや……返した、というのは正しくない。
妹は私を見ていないし、妹は私なんか目に入れていないからだ。
それに無論、気付かなかったはずもない――意図的に無視したのだ。
昔は『おはよう!』と、元気な挨拶を返してくれたけれど、和葉が変わったのも『あの事件』のせいだった。
全部、私のせいだった。
私は、朝食を食べ終えたあと「和葉、あのさ」と声をかけた。
すると和葉は、自分の部屋の前で立ち止まる。
「……なに?」
振り返った目は、鋭い目だった。
憎しみと怒りが入り混じった、濁った目だった。
「あの、さ……。あのときのこと、まだ気にしてるの?」
「……『まだ』?」
苛立たしい、という風に、和葉は私の言葉を反復する。
「お姉ちゃんは――黒瀬くんにあんなことをさせたんだよ?」
「…………っ」
追及するような、言及するような――そんな目で、和葉が言う。
私は何も言えない。
「お姉ちゃんは、いつも逃げてばっかりだね? 黒瀬くんとのことも、いじめのことも、全部。……お姉ちゃんは」
そして、全てを吐き出すように。
まとめてこぞって、吹き飛ばすかのように。
それを全て、私にぶつけるように。
「お姉ちゃんは、卑怯だよ」
ばたん、と。
大きな音を立てて、和葉はドアの向こうに消えた。
「……私は卑怯、なんかじゃない」
私は、力なく――がくりと。
ぽつりと、呟いた。
「私は卑怯なんかじゃなくて――臆病者、なんだよ」