大人オリジナル小説
- 標的 ― タ ー ゲ ッ ト
- 日時: 2011/05/07 20:00
- 名前: りえ
――次は誰にしようかな
怪しげな笑みを湛え、その陰は段々と実体化していく。
――あいつにしようよ。いっつも自慢ばっかりでムカつくしさー
うん。そうだね
陰はその意見を実現させる。
――お前、あいつの味方するの?
そうだ。こいつは裏切り者。許すな。
陰は心の闇につけ込んで、少しずつ一体化していく。
――この、役立たずが!お前もあいつらと同じ目に遭わせてやる
ついには、支配する。それが心の闇と、そこに潜む陰。
一体今回のゲームは、誰が 標 的 になるのだろう。
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- Re: 標的 ― タ ー ゲ ッ ト ( No.1 )
- 日時: 2011/05/08 11:42
- 名前: りえ
「…ごめんなさいっ!あ、謝るからもうっ許して!」
教室。机や椅子は端へ寄せられ、机が一つぽつんとその中央にある。
その上には傷だらけで、びしょ濡れの少女が一人うずくまっていた。
そんな彼女に、更に攻撃を仕掛ける男。
「はぁ?お前さ、勘違いしてんじゃね?」
「そーそー」
「別に俺たち、お前のこと嫌いじゃない」
「そーそー」
「好きだからこんなクソつまんねェことしてやってんだろ?」
「そーなんだよ、中井さん」
「勘違いすんなよー」
「これは暴力じゃない。立派な愛故の行為だ」
「そーそー」
「それをお前は暴力だと、いじめだと言うつもりなんだ?」
「えっ…ち、違っ」
少女が顔を上げる。
「そーかそーか。じゃあ、お前は俺たちをそうやって貶めて嘲笑うつもりなんだな?…なんて非情なヤツ」
男の容姿は良く、頭脳明晰・スポーツ万能で校内でも1,2位を争う程の人気があった。
「私はそんなつもりじゃ…っ!」
「おい、聞いたか?こいつ、俺たちをはめようとしてたんだとよ?」
『ヒドォーイ』
『サイテー』
『純情なフリして、本当は魔性の女?気色悪ィ』
周りの人だかりがざわつく。
「っていうかさ、キミ、汚い」
そこで口を開いたのが、彼。
「僕たちまで汚れちゃうのは気が退けるし、…いっそ消えて?」
「なっ…」
彼も先程の男と同じく。でも彼の場合、俺様なあの男とは違って紳士的。でも、こういう場面となるとその神々しいとも言える程の華やかさとは打って変わり、冷徹な恐ろしい人格だった。
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