大人オリジナル小説
- いじめ-私たちの理想郷-
- 日時: 2011/05/29 16:16
- 名前: KA ◆dKDNaU8jDE
いじめ
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- Re: いじめ-私たちの理想郷- ( No.1 )
- 日時: 2011/05/29 16:33
- 名前: KA ◆dKDNaU8jDE
Prologue
カチ……
よし、できた。大丈夫。
私はそれを先生に提出した。
「お、松島。おまえ、バスケ部やるのか。」
「はい。」
とても意外そうに言われて、まあ、当然と言えば当然なのだ、私は体育で、4ですらとったことがないのだから、と自分に言い聞かせつつも、すこし疵付く。でも大丈夫、これから挽回できるはず、とはい、と返事をした。
まあ、……しょうがない。
「うわ〜、桃ちゃんバスケ部やるの?」
綺麗な、声がした。
同時に、それを、残酷だ、とも思った。とても、声が、残念そうだったから。
「意外だな〜、絶対やらないと思ってたのに!」
「あ〜、んーと、親に入れって言われて……。」
いいわけである。親に入れなんて、言われてもいないし、生徒のごたごたに親を引っ張り出すなんて私は……最低だ。
「そっかー。じゃ、仕方ないよね。」
仕方ない?
そのときはあまり気に留めずによいと思った。
松島 桃は、運動神経が全くないのである。
だから、ごめんなさい、といってもつきず、チームの中でただ一人ミスをし続けるのだ、彼女をどんな良いチームに入れても、それは変わらなかった。
井川 里乃は、とても彼女を鬱陶しく思ったと同時に、とても大きな何かが心の奥底からこみ上げて来て、里乃を包み込んだ、それが――きっかけであった。気づけば、もう、桃を軽蔑していた。
はっきりいって、里乃は運動神経がとてもよい――自分でもときどき思う。しかし桃は――ドジだし、運動神経が無い。
バスケには向かない!
里乃は中学二年生だ。一年生からバスケをやっている。しかし、桃はどうだ?
そう、途中入部――
上手くなられては困る、今までの努力が――無くなってしまうのだ、里乃は桃を封じ込めておく必要があった、恐れていた。
だが、それも必要がなくなった。
でも、代わりにこういう状況になってしまったのである。
はっきり言おう。
これは、いじめだ。
里乃は、自分でも、はっきりと、分かっていた。
当然、桃も、分かっているだろう、と思った。
ひたすら一生懸命バスケにうちこむ桃をみて、何とも言えない気持が
こみあげてきて、それが嫉妬だと気付いた瞬間、そう、なった。
いじめをする、ひとに、なって、しまったのだ。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
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