大人オリジナル小説

上×下×関×係
日時: 2011/07/19 10:04
名前: 琉已 ◆pYFVO0D7y.

―――…きっかけは、ほんの些細な事だった。




何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で





何で私がこんな思いしなきゃいけないの??



最低最低最低。

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Re: 上×下×関×係 ( No.1 )
日時: 2011/07/19 10:29
名前: 琉已 ◆pYFVO0D7y.

「ってかさぁ〜昨日の秋から来た一斉送信のメール読んだぁ??」
「読んだ読んだぁ〜!秋、あの子どんだけ彼氏欲しいの〜って感じだったよね〜」


友達の麻友と談笑しながら歩いていると背後から『キャハハハッ』という甲高い声が聞こえた。


「んでさぁ、うちメール見たあの後昨日やってたお笑い番組観てたんだけどあの芸人そろそろ終わるよね〜」


キャハハハッという笑い声はおさまる気配を見せず、まだ背後で声を高くしているが私も麻友も全く気にせず話を続けていた。―――…その時



「…何、アンタ。先輩に対して挨拶位出来ないわけ??」


甲高い声が私達をぬかして前に行ったと思うとその声がピタリと止まり、変わりに低い声が聞こえた。

「……え??」

驚いて声の方を向くと先程までの声の主…山本先輩達が麻友を睨んでいた。

「…いや…。何で………」
「アンタマジ調子乗ってんでしょ。」

少し焦ったような声色で返事をする麻友の言葉を遮って山本先輩の罵倒は続く。

「ってか本当調子乗ってんじゃねぇよ。2年になったからって…。ウチら3年いつもアンタの事見てるから。…何なの?アンタ挨拶もロクに出来ないわけ?そんで2年が1年生呼び出してるって噂あるけど挨拶も出来ないような奴が呼び出す権利無いからね?んな事本当にしてたらウチらマジキレるから。」

息をつかない程淡々と麻友に罵倒を続ける山本先輩に対して麻友は小さな声で『すみません』とだけ言った。

「……次からちゃんとしなきゃホントアンタの事許さないから。」


麻友の謝罪を聞いて納得したのは山本先輩はそう言い捨てて私達から遠ざかって言った。




「許して貰わなくても結構です。」




理解出来ない山本先輩の言葉に思わず反論してしまった。………無意識だった。

……何で麻友が山本先輩にそんな事言われなきゃいけないの??麻友、山本先輩と部活とかで一緒になってる訳じゃないんだからそんな事言われる筋合い無いじゃん。意味分かんない。何で?山本先輩こそ去年までいた今高1の元3年生が居なくんって調子乗ってるでしょ。…何で?何でうちらそんな事言われなきゃいけないの?本当意味分かんない。何もしてないし。部活でも委員会でも一緒じゃない、仲も良く無い先輩に挨拶する必要あるの??


………ほんの数秒のうちに脳内で大量の事を考えて、それをまとめて『許して貰わなくても結構です』って声が出た。



「…はぁ??」


山本先輩はクルリと振り返って私を軽く睨みつけると低い声で『はぁ??』と言って私の方に歩いてきた。


「…今、アンタ何て言ったの??」


どんどんこっちに近づいてくる山本先輩の姿に苛立ちを覚えて来た。
禁止されてるジャージ下校で下校てそのジャージも軽く改造してあって低くてダッサイ腰パンで校則も守らず髪も汚い茶色に染めて校則で規定の長さを満たしているのに髪も結ばずに清潔感なんて欠片もなくって、麻友の方がどう考えてもちゃんとしてて、なのに何で麻友があんな散々言われなきゃいけないのか理解出来なくて、多分山本先輩の方が調子に乗ってて……。

でも、苛立ちと同時に恐怖も芽生えた。…だってどんなに馬鹿そうな格好でもどんなに清潔感が無くても一応先輩だし、逆に馬鹿そうだから、本当に馬鹿だったら何されるか分かんない。

…謝った方が良いの?どうすれば良いの??考える前にまた口が動いた。



「山本先輩に許して貰わなくて良いって言ったんです。」




生まれつき、あまり感情が表情や仕草に出る方では無いのが役立ったのは人生の中でこの時くらいだと思う。


表情も変えずにそう言いきった私は山本先輩にさぞ生意気に映ったと思う。


きっと、山本先輩は私が謝ったり焦ったりすると思っていたんだと思う。表情も変えずにそう言った私を見て怒りに顔をグシャッと歪ませた。

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