大人オリジナル小説
- 人と人、
- 日時: 2011/10/29 09:16
- 名前: 千影
「離れたいんでしょ、」
そう言う君の顔には表情が無くて。
君が、自分に伸ばして来た腕は微かに震えていて。
これまでの因果応報なのか。
それとも自分の自業自得だったのか。
自分には、何一つ分かりませんでした。
@
初めまして、千影です。
人間関係の複雑さを書いてみます。
社会問題系にあげるか、複雑系にあげるか迷いますが……。
自分は“現代”の問題と思ってますので一応こちらにあげます。
人と人との、仲の裏を書けたらと。
なかなか暗い要素が集まりますが、平気な方はどうぞ。
それでは。
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- Re: 人と人、 ( No.2 )
- 日時: 2011/10/29 09:43
- 名前: 千影
少し夕日の差し込みだす午後四時。
これからの予定を頭に浮かべ、少し伸びをしてから終わりを告げる。
ぞろぞろと出て行く波を見送ってから、
一人外へ出ようとした時だった。
「望ーっ!」
きゃはは、と言う笑い声が響く。
それと同時に中津紗由(なかつ/さゆ)が自分に抱きついてきた。
図書室から出たばかりの自分に、いきなりの衝撃が舞い込んで来たので、抱きつかれるのに気付いたのは数秒後。
でも抱きつくと言うより軽くぶつかる程度。
そして紗由の横から二人の女子の声がする。
「委員会お疲れ、望」
「伊達に委員長じゃないよね〜」
飯塚春(いいづか/はる)と小守悠子(こもり/ゆうこ)。
交互に言葉をかけてから、笑顔で話してくる。
三人ともクラスメート。そして仲の良い友人。
今の今まで、自分の入っている図書委員の終わりを待ってくれていた。
どうでも良い話、自分は悠子の言うとおり委員長だったりする。
中学二年生の、冬に近づく秋。
委員会と部活、それと塾も忙しくなってきて充実しているこの頃。
学校、委員会、部活、塾。
沢山の「居場所」を持つのが楽しくて、自分はとにかく甲斐甲斐しく喋って、勉強して、活動していた。
変わってる、とか変人、とかよく言われるけれど自分は正直学校の為など、責任感を持って活動するのが好きだった。
「あ、望!」
「どうしたの、紗由ちゃん」
「真樹ちゃん、さっきまで待ってたんだけど……」
真樹ちゃん、と言う単語を恐る恐る告げる紗由。
自分の顔色を伺うような少し気の毒な顔に、自分は笑顔を返す。
「そうだったの?」
「あぁ、そうそう。帰っちゃったけど」
戸惑った表情の紗由にフォローするように入る春。
自分はあぁそうなんだ、と普通の物事のように返事をした。
委員会がある日はとりたてて練習のキツくない文化部は大抵休みになる。
それでもって自分と紗由達三人は部活が無く、
会話に出て来た“真樹”も今日は部活が無い日なのだ。
「じゃあ、もう帰ろっか」
鞄を肩に引っ掛け、笑顔で三人に告げる。
そうだねー、なんて皆で言い合って雑談をしながら靴箱へと向かう。
学校と言うのは勉強する場所、と自分は思う。
けれどこう言う雑談と言うのはやっぱり楽しいものだ。
靴箱に向かう間、ゆっくりとした足の速度とは裏腹に会話は猛スピードで弾む。
あはは、と言うテンションの高い笑い声が廊下に少し響く。
クラスの先生の話だとか、TVの話だとか、近々あるテストの話だとか。
共通の話題と言うのはとても面白い。
靴箱に着いて、それぞれ靴を履く。
ずっと会話は楽しいままだった。
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