家に帰ると、親に見つからないようにして走って二階へと駆け上がる
バタン
勢いよくドアを閉めるとその場にしゃがみこんだ
そして体育座りになり腕で顔を隠し、膝に額を当てた
―何でイジメなんてあるの?
イジめて何が楽しいの?
そんな事して何かを得ることが出来るの?
やってる側は面白いかもしれないけど……
やられている側は辛いんだよ
苦しいんだよ
痛いんだよ
あぁ……消えたい
消えたい
消えたい
消えたい
消え去りたいよ
そもそも私がイジメを受けるようになったのは、ほんの些細なこと
だった
初めはイジメなどない、何処にでもありそうな平凡なクラスだった
「麗架さん、このピンどめ可愛いですね!麗架さんにピッタリ〜!」
クラスの女子達が麗架の席を取り囲むようにして話している
「あら?そう?フフ……ありがとう。このピン、お気に入りなの」
満面の笑みで麗架は笑う
「あれ!?というかこの、ピン……PINKっていうブランドのピンですよね!?いいなぁ〜!」
一人の女子が羨ましげにそういうと麗架は
「あ、気づいちゃった?」
と微笑んで言う
私はそれを親友の中野 理恵と一緒に
「……なんかくだらなっ」
といっていた
クラスの女子等は別に麗架のピンなど可愛いや羨ましいなどと
思っていなく、むしろイラついていた
「自分が金持ちだからって……偉そうに。」などと、陰口を言ってるくらいだから。
麗架のピンをじっと見ていると理恵が
「何?欲しくなった?」
といってきた
私はそれを
「違う、違う!」
と拒否した
確かに欲しいとは思わないが……
見覚えがあった
どこかでピンの柄を見た気がしたからだ。