大人オリジナル小説
- あの日にはもう戻れない――
- 日時: 2011/11/25 17:37
- 名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ
前、テレビで特集をしていたときに男の人が言っていたの。
「すぐ止める事ができると思った」
「一度やると、止められなくなってしまった」
「もう、あの日に戻ることは出来ない」
それも、目に涙を浮かべながら。
一言一言ゆっくり、確実に声に出していた。
ただの、視聴者の私は、泣く位ならやらなければいいのに、としか思わない程、私にとっては凄くつまらないドキュメンタリー番組だった。
でも……。
でも、その時は私もその男の人と同じようになるなんて……思いもしなかった。
■当作品は「覚醒剤」所謂、薬物に関しての作品となります。「覚醒剤」という言葉に嫌悪感を抱く場合や、作者の書き方が嫌な方はお引取り願います。
■初めましてっ。プロローグが少し暗い感じになってしまいました;
当作品の作者「柚子」といいます。社会問題系は初めて執筆するのでどうなるか分からないですが、冷めた目で見守ってくれればなぁと思いますっ。
■コメントをくださったお客様
■めにう
*キャラクタ紹介「>>001」
*目次
第一章【 本日快晴 】
第一話「>>002」
■お知らせ
■2011年11月24日スレッド作成
- Re: あの日にはもう戻れない―― ( No.3 )
- 日時: 2011/11/29 17:44
- 名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ
「そういえばさ、結城くん」
自分の机にカバンを提げ、結城の下へと鈴奈が歩み寄る。結城は何も返事をせずに、書類に向けていた視線を鈴奈へと移した。
「あの……薬物に手を染めている生徒って、結局でてきたの、かな……?」
結城の正面に来て、不安げな表情を鈴奈は見せる。
優しい鈴奈のことだから、生徒が薬物に手を染めているなら助けたい、とか誰も傷ついたりとかしてないよね、なんて事思っているのだろうとしか結城は考えていなかった。
「いーや。出てきてないけど、先輩にはボコられたぞ俺」
へへっ、と愉快そうに言う結城を鈴奈は本気で受け止めすぎて顔が青褪めていった。
「そ、それって、大丈夫だったんですか!?」
「いや、だから、大丈夫だしさっ? 大丈夫じゃなかったら今頃病院だろうしな?」
涙目にまでなって心配してくる鈴奈に、申し訳なさそうに結城がいう。それでも顔を赤くし目に涙を溜め続ける鈴奈に、内心面倒くさくなっている自分がいることに結城は気づいていた。
二人がそんなことをしていると、教室の扉が豪快にガラガラッと音を立てて開く音がした。瞬間、涙目の鈴奈と苦笑いをしていた結城が音が鳴ったほうを見ると、クラスメイトのほぼ全員が教室に入ってきた。
一つ、結城少年は察したことがあった。それは、自分と鈴奈の遣り取りを一部始終見ていたかは定かではないが、ほぼ全員のクラスメイトが見ていたということだ。録画や録音されてなければいいなぁと思いながら鈴奈に目を移す。鈴奈は、状況が理解できないようで少しテンパッている。
「こら! 結城のくせに、可愛い可愛い鈴奈泣かせるとは何事だあっ!」
扉のほうから、凄い速さで結城の幼馴染でり、鈴奈の大の親友である佐藤倖(さとうゆき)がやってくる。それも、頬を膨らませながら。
「倖……お前か? お前なのか? クラスメイトに教室入れないようにしてたのはお前か?」
結城は倖の言葉に耳も貸さずに、また書類に目を移し言う。少し呆れも入っていたが、一番含まれていたのは怒りで、いつもよりもワントーン低い声が教室内に響き渡っていた。