1 【鐘】
「私に近寄るな、汚れる」
「あははぁ、由奈子さんって面白いわ」
木製の机に腰かけた2人の少女は楽しそうに笑う。けらけら笑う。
教室は大いに荒れ、机は倒れゴミがちらばり、黒板は綺麗に割れていた。
掲示板と称されたゴミはぼろぼろで、窓は全壊、夏のはじまり、爽やかな風で破れた黄色いカーテンがなびいている。
「痛い....や、やめて」
制服をきっちりと着こなしたツインテールの女の子が、叩きつけられるモップに怯えている。そのモップをもつのはさっきの二人の手下、というのが相応しいだろう。
女の子はこの教室のようにぼろぼろになり、茶色のゴムでまとめられた綺麗な髪も、黒のブレザーも、もう跡形もなく壊されていた。
「さあ出来たわよ、これは生卵が自動で出てくる機械なの!! あ、避けるのは無理なのよ。なぜかってねえ...」
プラチナブロンドのさらさらした髪を風になびかせながら、近代風な小型機械を手に持ちどや顔で説明を始めるこの美少女。
「よし、永谷早くそれ寄越して!! 早くしないと輝くん来るし」
永谷と呼ばれたプラチナブロンドが機械を渡す。レバーを引いたら、勢いよく生卵が飛び出し、いじめられている女の子の頭に直撃。
割れた卵が彼女の顔をつたい、落書きだらけの床に落ちる。
「わあ、双子だあ」
ひょこひょこ来た永谷が割れた卵を見る。それどころではない女の子は、涙をぽたぽた落とし下を向いている。
こつ、こつ______
後ろから足音が聞こえる。
永谷を除くほとんどが彼女のために道を開ける。
卵をしたたらせるその子の前にたった彼女は、
「おはよう。 今日も朝から嫌な顔ね」
がこん。
鈍い音が教室に響く。
永谷の自信作。ただの長い棒を改造して作られたそれが、いじめを受けるその子の顔を思いっきり殴る。
「あはは、襟元さんって面白い」
横に倒れたいじめられっ子、いや襟元が弱々しい目で見上げる。
「松坂さーん、お金」
永谷が笑顔でいじめっ子の前に立ち、手を差し出す。
いじめっ子松坂さんにこんなことを言えるのは、彼女一人だろう。
「......仕方ない」
千円札数枚を永谷の小さい手においた松坂は、もういじめに飽きたのか手下を引き連れて席に戻った。
その時、鐘のうるさい音がなり、担任の青山が来る。そして襟元を見つけ、事情をききだし下手な説教をするのだろう。
こんな日常、慣れている。
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はい、かなり酷いことしてます←
すいません、おかしな文章で。