大人オリジナル小説
- 一人十色
- 日時: 2012/03/30 17:39
- 名前: 八重.
またもや八重です。最近良い小説が書けなくて悩んでますー。
今回は多重人格についての話です。
※八重は小説初心者です。
※重すぎて無理と思ったら戻れボタンをお願いします。
これを踏まえてよろしい方は↓へどうぞ。
- Re: 一人十色 ( No.3 )
- 日時: 2012/03/31 15:08
- 名前: 八重.
「いい?入るわよ。」
その声の主は、木村夏の母親の声だろう。
しかし俺には関係ない人物である。俺は夏の中に存在する1つの人格である、代田和哉というからだ。
ガチャッ
ドアが開いた。間もなく夏の母親が入ってきた。
「代田君ね。ご飯、持ってきたわよ。食べなさい。」
「ありがとうございます。」
この人は俺たちに優しく接してくれる。それは多分、この人の娘である夏の中の人格だから、という理由だと思うけれど。
俺はテーブルの上に置いてもらった皿を覗き込んだ。
それはカレーだった。俺の大好きな、この人がつくるカレー。でも夏は、好きではない。何もかも、すべて好きではない。俺にはわかる。全ての人格が思っていること、考えていることが。それはどの人格に対しても共通であることだ。この病気、解離性同一性障害、優しくいえば多重人格では当たり前のことであり、これは夏の中の人格で最年少のハルでもわかることだ。
俺は脳内で夏に話しかけた。
(俺が、食べてもいいか。)
(そんなこと既に解ってるんでしょう。私はあんな母親の料理なんて食べたくない。あんたがさっさと、片付けてしまって。)
(・・・そうか。遠慮なく。)
実は夏は、今はもういない父親に虐待を受けていた。そのせいで俺たち、それは存在しないはずの複数の人格が誕生したというわけである。
俺は主人格の夏、そしてそうではないハル、瞳子、美奈、亜希の人格を知っている。架空の人格は俺を合わせ5つのはずだが最近、俺たちが知らない、6人目の人格があるような気が、俺にはする。夏は何かを隠していて、でも自分でもその隠しているものの正体がわからない、といったところだろうか。でもそれは多分、6人目の人格だと俺は思っている。高校一年生の美奈もそう、勘づいているようだった。
つまり、夏は自分の記憶がないときに6人目の人格とコミュニケーションをとっているのではないかと思う。しかしその新たな人格が人格として表に出たことがないこともあり、6人目の人格は存在するものかどうかは誰にもわからない。
だけどこの前、夏の中の誰も人格を表に出さず、眠りの状態だったにもかかわらず、勝手に夏の身体は動き出し、遊園地まで向かい遊ぶという行動をとった。俺は、それは当然夏の意思だろうと思ったのだが、その行動について問うと夏は記憶にないと、きっぱり言ったのであった。
一体何故なのだろう。その空白の時間と行為は、俺と美奈をさらに悩ませた。同時に、新たな証拠と捉えることもできた。
-------夏の身体には、一体何があったのだろう------・・・・・