大人オリジナル小説

Time rimitto ー彼女の時間
日時: 2012/05/04 09:00
名前: 見習い魔術師 キラ


『急がなきゃ・・・。』

彼女は走る。
自分に残された時間は、もう短いことを知っているから。

『私に残された時間は、もう・・・。』

彼女は走る。
たった一つ、自分の存在理由である目的を果たすために。

『タイムリミットがくる前に・・・。』

彼女は走る。
犯罪者に、正当な罰を与えるために。

『復讐を』

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Re: Time rimitto ー彼女の時間 ( No.2 )
日時: 2012/05/04 22:01
名前: 見習い魔術師 キラ

俺は月成翔。
朝町高校に通う現役の高校生だ。
しかし、俺にはある秘密がある。
きっとほとんどの人は信じてくれないだろうが、俺は魔導師だ。
母方が有名な魔導師一族だったらしいが、母にはさほど強力な力はなかった。そのまま力が弱り、一族の破滅さえ噂されたが俺が産まれて強力な魔力があることが発覚したのだ。
それ以来、俺は魔導師として魔法界からやって来る悪魔たちを倒して行く任務が与えられた。
この街には俺以外の魔導師がいなかった。
そう、彼女が現れるまでは。

「行って来ます。」
俺はその朝もいつものように学校へ向かった。
中学時代からの親友、白倉知樹(シラクラ トモキ)と途中で合流する。
「おはよ翔。ところで知ってるか?今日転校生がくるらしいぞ。」
おはようの一言もそこそこに知樹が言った。
「転校生?」
(そんな事、昨日言ってたか?いや、言ってない。)
これでも記憶力は自信がある。
昨日、そんなことは一言も言ってないはずだ。
「昨日、部活帰りに校舎から出てくる女の子を見たんだ。それがかなりの美少女で、しかも俺たちと同じ色のリボン付けててさ・・・」
リボンは学校指定で学年を表している。
「でもさ、俺らのクラスとは言い切れないだろ。」
俺が突っ込むと、知樹はニタリと笑った。
「それが、名札にちゃんと二年三組。」
「いつの間に名札確認してんだよ。てゆうか、最初から言え。」
なんでも偶然すれ違った時に名札の学年の部分だけが見えたらしい。
ちなみに名前は不明だ。

そして学校。
知樹以外にも転校生を見た人がいたらしく、クラスの噂はそれで持ちきりだった。
その伝達の早さたるや、インターネットを超えていそうだ。
「おはよう!全員いるか?」
いきなり先生が入ってきた。
しかし、生徒の視線は教室の戸口に向いていた。
そこには学校指定の制服を着た美少女がいた。
漆黒の髪と瞳、整った顔立ち、白い肌。
道を通ったら十人中十人が振り返るような彼女。
生徒全員が彼女に見とれていた。
「何だ?相手があいさつしてきたら返すのが礼儀だろう。」
先生は朝から礼儀講座を始めそうな勢いだ。
「先生、それより転校生。」
知樹が先生に声をかける。
「あ、そうか。天海、入れ。」
先生の礼儀講座がなくなった事、転校生が入ってきた事で教室は水を打ったように静まり返った。
彼女が歩く音だけが教室に響く。
「天海、名前を黒板に書いてくれるか。」
彼女は無言で黒板に名前を書く。
迷わずチョークを走らせるその後ろ姿は微塵の隙もない。
彼女がチョークを置き、振り返った。
背中まである漆黒の髪が、制服の裾が翻る。
【天海 涼風】
「天海涼風(アマミスズカ)です。よろしく。」
大きくはないけれどよく通る。
声に色があるとしたら、透き通っていそうな、そんな声。
「えっと、天海の席は窓際の一番後ろだ。」
つまり俺のすぐ後ろの席。
天海は再び無言で言われた席へと向かった。
俺のすぐ横を通った時、一瞬だけど冷たい風が吹き抜けた。
思わず振り返るが、風が吹いたような気配はない。
(何か、ヤバイ・・・)
ただの直感だが、こういう時の俺の直感は嫌に当たるのだ。

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