大人オリジナル小説
- 女王様の至福〜さぁ、ひざまずきなさい!〜
- 日時: 2012/08/24 20:56
- 名前: まおり
――
楽しい。
女だろうと男だろうと関係なしに、私の前で泣き叫ぶのを見るのが楽しい。
私に逆らうことのできない愚かな奴らが、仲間を潰しあうのを眺めることが楽しい。
私がすべてを支配して、奴らの頂上に立っていることが楽しい。
楽しい!楽しい!楽しい!
私が狂っているってことは、とうに気づいている。
人の苦しむ姿に快感を覚えるなんて、頭がおかしいと言われてもしょうがない。
もはや相手が忠犬のように従うしかできない環境をつくるなんて、まるで悪魔みたいでしょうね。
わかってる。
でもやめられない。
目の前の弱いものの、身も心もボロボロに痛めつけるのが私の至福の時。
すごく楽しい時間。
――
初めまして!まおりです<m(__)m>
いじめ系小説書きます。けっこうきついかもしれません。表現が。
いじめっ子側視点です。
荒らし・中傷はやめてください。
コメ・アドバイスはむしろ来てください(^^♪
ではスタート!
―キャラクター―
御堂鈴子(みどう すずこ)
中学二年生。
御堂財閥の一人娘で、権力を持て余している。
力を使って人をいたぶることが大好き。
学校では女王様的存在になっている。
院堂直美(いんどう なおみ)
中学二年生。
成績優秀な鈴子の取り巻き。
彼女の言うことは何でも聞く。
宮野葵(みやの あおい)
中学二年生。
可愛らしい鈴子の取り巻き。
いじめに関してはよく動く。
飯島果歩子(いいじま かほこ)
中学二年生。
常に鈴子の近くにいる。
鈴子命令に沿って動く。
春川美奈穂(はるかわ みなほ)
中学二年生。
鈴子のクラスの生き物係で、家は不動産会社。
おとなしくて優しい性格。
あることがきっかけでいじめのターゲットに。
笹原春樹(ささはら はるき)
中学二年生。
美奈穂の幼馴染で、家はそこまで裕福ではない。
活発で明るい性格。
美奈穂と仲が良くいつも見方をしてきたが……
その他
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- Re: 女王様の至福〜さぁ、ひざまずきなさい!〜 ( No.1 )
- 日時: 2012/08/24 20:59
- 名前: まおり
「おはようございます!鈴子様」
「おはよう、皆さん」
鈴子が校門の前に止まったリムジンからおりた瞬間、周りにいた生徒が一斉に道を開け頭を下げた。
一直線に並ぶ彼らを眺め、鈴子は満足げに微笑む。
頭を下げる生徒の中には、当たり前のように3年生の姿もあった。
ここは蒼川中学校という私立中学だ。
通う生徒の半数以上が医者や芸能人、政治家など権力者を親に持っている。
腰まである黒髪に大きな黒い瞳。
色白で青川中学の水色のセーラー服を着こなす綺麗な少女、御堂鈴子もその一人だ。
いや、彼女こそその象徴だった。
鈴子の父親は、世界的に有名な御堂財閥のトップ。
世界で有数の金持ちだ。
鈴子の権力はそれに比例するように高かった。
生徒どころか教師も彼女に頭を下げ、彼女のご機嫌をとった。
そんな状況になる理由はただ一つ。
父親である御堂広大は、異常なまでに娘に過保護だった。
鈴子のお願いはなんでも聞くのだ。
かつて鈴子の成績を抜かした生徒がいたときに、彼はその生徒の親の会社をつぶした。
周りの会社に根回しして、いとも簡単に。
自分たちもそんな目にあってはたまらないのだろう。
いまや鈴子は権力だけでなく、成績も美しさもトップだった。
「鈴子様!お荷物お持ちいたします」
「あら直美。ありがとう」
鈴子が生徒の間を通り抜け校内に入ろうとしたとき、焦げ茶のセミロングを揺らした少女が駆け寄ってきた。
彼女の名前は院堂直美。
鈴子の側近的な生徒で、医者の娘だ。
成績では、器用に2番を取り続けている。
鈴子はそんな直美に荷物を渡すと、校内に入っていった。
そして階段を静かに上りきり。4階にある2年1組の扉の前に立った。
もちろん彼女は扉を開かない。
そして両手で荷物を持っている直美も、彼女の後ろで立ち止まった。
「おはようございます!鈴子様」
ガラッと音を立てて扉を開いたのは、癖のある黒髪の少年だった。
教室内にいた彼が鈴子の登校に気づき、扉を開けたのだ。
「おはよう、笹原さん」
鈴子はそんな彼に穏やかな笑みを見せ、すたすたと自分の机へ向かって歩いていく。
その間も「鈴子様!おはようございます!」という声の大合唱だ。
悠々と席へと向かう彼女の背中を見つめ、笹原は安どのため息をついた。
(よかった……機嫌がいいみたいだ……。奴隷決め、今日はなしだよな)
心の中でそう呟いた。
奴隷決め……それは2か月に1回行われる、鈴子の暇つぶしのイベントだ。
今日はちょうどその日なのである。
彼女にとっての奴隷を決める日。
もちろん、今まで選ばれていた人が選ばれてしまう場合も、新たな人になる場合も大いにありえる。
全ては彼女の……鈴子の決めること。
なんせ彼女自身がここの秩序であるから。
彼女は何をしても許される女王様であるから。
蒼川中学校は、まさに絶対王政である。
(まぁ……鈴子様の機嫌が良ければ問題ないけど)
再び心の中でつぶやき、彼も自信の机にむかった。
その時だった。
「キャッ!」
「す……すみません!鈴子様!」
短い悲鳴とともに、慌てて謝る声が聞こえた。
教室中の視線が一転に集まる。
そこにはわなわなと手を震わせる鈴子と、ペコペコと頭を下げる泣き顔の少女がいた。
肩まである茶髪をゆるい三つ編みにした少女は、生き物係の春川美奈穂だ。
足元にはジョウロが落ちていて、鈴子の制服は濡れている。
この様子を見た限り、教室に飾ってある花に水を上げようとした美奈穂が、鈴子にぶつかり水をかけてしまったのだろう。
「美奈穂……!」
ガタッと音を立てて笹原は立ち上がる。
鈴子に睨まれている美奈穂は、彼の幼馴染だった。
美奈穂は助けを求めるように、チラリと笹原に目をやる。
その瞬間、鈴子が自席の机を勢いよくたたいた。
バンッという鋭い音が響き、美奈穂はビクッと肩をすくめる。
「春川さん!この制服はお父様が特注してくださったものなの!あなたたちやほかの生徒とは違う生地なのよ!?それをこんな汚い水で汚すなんて!」
「も……申し訳ございません!どうか……どうかお許しください!」
鈴子は穏やかだった姿を一変させ、鬼のような形相で美奈穂に詰め寄る。
美奈穂は理非人なことをいわれながらも、必死に頭を下げ続けた。
「……もういいわ。許してあげる」
「ほ、本当ですか!?」
パアッと表情ををほころばせ顔を上げる美奈穂。
しかし、鈴子はそんな彼女の三つ編みを乱暴につかんだ。
「ただし、次の奴隷はあなたよ!」
そう吐きすて、ニッと口角をゆがめた。
投げ出すように美奈穂の三つ編みを離す。
「そ、そんな……」
美奈穂は驚愕に目を見開き、がくりと膝をついた。
初めは同情に満ちた目をしていたクラスメートたちも、彼女が奴隷に決まった途端、楽しそうに今後のプランを練り始める。
鈴子はそんな彼らを振り返り、大きな声で言った。
「皆さん!意義はありませんわね!?」
「もちろん!意義なんてありえませんわ!」
直美を筆頭に、ほとんどの生徒が手をたたいてうなずく。
そして鈴子は、一人伏し目がちな笹原にニッコリとほほ笑んだ。
「笹原さんは?」
「……っえ?」
突然声をかけられ、思わず声を漏らす笹原。
鈴子は彼に静かに歩み寄る。
「意義……ありませんよね?」
鈴子は穏やかに……だが威圧のこもった声で笹原に問いかけた。
「ないでしょう?」
返事をしない笹原に、鈴子は再び声をかける。
天使のように可愛らしく、悪魔のように冷たい声で。
「春樹……」
選択に迷っている笹原の名を、美奈穂はすがるように呟いた。
途端に笹原は顔を上げた。
意を決したように口を開く。
「もちろんです。意義などありません」
その言葉が美奈穂には、全てが壊れる効果音に聞こえた。
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