大人オリジナル小説

思い出せば。
日時: 2013/09/17 19:13
名前: 翅

初めまして、翅と申します。

これから、”虐めもの”を書いていこうと思います。

中心はフィクションですが、
体験したもの…ノンフィクションも入っています。

これから、何卒よろしくお願いします。

〜訪問してくれた方&代表的な小説〜

☆りい様 裏切り、涙、友情。


*本編*

序章 >>1
第一章 >>2 >>5
第二章 >>6

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Re: 思い出せば。 ( No.5 )
日時: 2013/09/15 22:01
名前: 翅

「ご、ごめん由梨…。ちょっとピアノの発表会があって…。急いできたから、こんな服だけど…。」

申し訳なさそうに朱里は言う。

_____それでも由梨は許さない。

「はぁ?ピアノの発表会何て抜け出せるでしょ?っていうか本当にあったの?ドレスなんて着てさぁ〜。似合わないよ?それに…。」

由梨は笑う。

みんなは固まって、朱里は驚いた。

「何よりもうち優先に動けよ。」

この一言で空気は凍った。

「ねぇ、みんな?」

由梨の不敵な笑みはみんなに向けられる。
みんな必死で、コクコクとうなずいた。

この瞬間、朱里の地獄は始まる。

「うちさぁ〜、トイレ行きたいんだ?朱里一緒に行こ?」

由梨は朱里と一緒に部屋を出ていく。

止めなきゃ…。
このままじゃ、朱里が…。

止めなきゃ…。止めなきゃ…。

でも止めたら何が起きる?

朱里の代わりにあたしがいじめられる?
あたしが傷つけられる?

あたしがいじめられるなら、朱里なんてどうでも…。

そうだよ、朱里がいけないんだ。
朱里はいつもいつも遅れすぎるんだよ。

忙しいなんてただのいいわけだ。

だったら…朱里はいじめられて当然だよね?

バタンッ

冷たいドアの音が鳴り響いた。

「…ねぇ…うち…もう嫌だ…。」

しばらくしてから、朱里の親友、杉本愛海が口を開けた。

「…朱里の傷だらけの体…見たくないよ…。」

「愛海…」

「みんな、これでいいの?」

美咲の口が開くと同時に美咲の黒髪が揺れた。

「みんな気づいてるよね?!由梨がどんどん人を傷つけていってること!」

「美咲…やめてよ…。」

「なんで!?愛海も!美優も!優実も!私も!みんなも!みんなの傷は誰からされたの?!」

みんな黙っている。
ただ、美咲の高い声がマイクのせいで響いているだけだ。

「由梨でしょ?!痛いのがよくわかってるのは私たちでしょ?!だったらなんで…。」

「やめてっ!!」

いつもおとなしい笹倉加奈が叫んだ。

「知ってる!!みんなそんなことわかってるよ!!でも…しょうがないんだよ!由梨に逆らえるわけないじゃん!!」

「もうやめろよ。」

珍しく流斗が口を開いた。

「みんなで傷口をえぐりあうのはやめようぜ?な、きいてる男子も心…痛いしさ…。」

みんなが流斗をみる。

「そ、そうだよなー。ってことだ、美咲!加奈!やめろっ!楽しくやろうぜ?…な?」

栗川龍二がいうときの表情はとても儚げで。

そして儚げな笑顔をあたしは忘れない。

―――――結局一時間後由梨は戻ってきて、朱里は戻ってこなかった。

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