大人オリジナル小説
- 上に向かって
- 日時: 2015/09/28 14:37
- 名前: 斎藤ロベール
現代人の特徴は、無神論だろう。世界も生命も、一つの機械のようなものだと信じている。だから「メカニズム」という言葉がごく普通に、何事に対しても使われて変だと感じない。コンピューターが発明されて普及してからは、人間の脳をむしろコンピューターになぞらえて考えることが多くなった。
しかし、それが一種の仮定であって、別に神がいないことが証明されたわけでもない。科学的な考えをしていると思っている人たちでさえ、例えば「利己的な遺伝子」などと、物質の塊に意志があるような表現をして平気でいる。そう、進化論ですら、少し考えればおかしなところがある。昆虫の「擬態」など、誰がどう始めたのか説明がつかないではないか。あのハチに似たいと、あるアブの種類全員で決定したのだろうか。
神を否定する割に、悪魔については喜んで話したがり、またそれに扮したがるのも現代人である。神や善を歌ったロックはあまり聞かない。
それはさておき、科学的な思考は確かに人間のあり方を前進させた。宇宙にも人間は出かけ、電波を介して遥か遠方と瞬時にコミュニケーションが取れるようにもなった。
こと生命に関してはまだまだその力を伸ばし切れていないが、生物の姿を少しだけ変えられるように漸く人間はなってきた。
「現代」はまだしばらく続くだろう。以下も、まだ現代に属する時間の話である。
Page:1
PR