大人オリジナル小説
- 月光夜
- 日時: 2015/11/28 17:13
- 名前: アユラ
月明かりが 照らす 今宵
貴方の事を 想います
なぜあのような事しか 言えなかったのか
あのような事に なってしまったのか…
月は 何も語らず
ただ 静けさを称え
私の傷を えぐり続ける
貴方は今、
幸せですか?
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- Re: 月光夜 ( No.1 )
- 日時: 2016/01/08 13:41
- 名前: アユラ
ー序章ー
満月の夜は、嫌い。
新月の夜は、寂しい。
下弦の月だと、少し切なくなり、
上限の月だと、愛おしくなる。
半月だと、自分が消えてしまいたくなる。
月が好きになったのは、中学生の頃。
夜に空を見上げると、月だけは、あたしの方を向いてくれている気がして。
星空よりも、輝いて見える月が、大好きで。
一等星よりも、圧倒的な存在感を誇っていた。
天文学者になりたかったわけじゃない。
研究科にも、興味はない。
ただただ、月を見ると、心が落ち着いた。
早く夜にならないかと、毎日待ちわびていた。
今思えば、あの頃から、あたしは夜行性になっていたんだと思う。
昼間は死んだような眼をし、夜には月を見るのが楽しみだった。
天体望遠鏡を、親にねだった。
そうしたら、「お前はかぐや姫か」と、馬鹿にされて終わった。
だから、働いてから、自分で買おうと、その時決意した。
月は、いつでもあたしを見ていてくれた。
一時も目をそらさずに、いつも、毅然とした態度で。
青い時もあれば、黄色い時も、白い時もある。
何度か、赤い時も見たけれど、誰も信じてはくれなかった。
夜通し眺めていたかったけれど、夜が明けて、空が白みかかってくる午前3時半頃からは、姿を隠してしまう。
また明日ね、と言って、あたしも眠る。
昼間の月は好きではないけれど、夜に見る月は美しい。
その美しさを、なんと例えようか。
良い表現は、見つからない。
月夜は、狼が出る。
月夜は、怪しげな雰囲気に誘われる。
月夜は、赤ん坊が、産声を上げる。
だからあたしは、月を選んだ。
月夜に、貴方を、選んだの。
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