大人オリジナル小説

悪女
日時: 2017/09/24 22:22
名前: 楼 ◆Si4n3ET9Lk

読む前にまず注意。
貞操概念ガバガバのクッソ性格の悪い胸糞悪い女が主人公のこれまた胸糞悪いお話です。
気まぐれ更新。飽きてそのうち書かなくなるかもしれません。
官能メインではないのでその辺りの描写は最初以外は比較的少ない…はず。たぶん。

それでもOKの場合のみどうぞー

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Re: 悪女 ( No.1 )
日時: 2017/09/24 22:24
名前: 楼 ◆Si4n3ET9Lk

 彼女は真性の「悪女」だった。それもずっと、昔から。

Chapter1.高校生

『裕美香、聞いたよ。日山君と付き合い始めてちょうど1年なんでしょ?』
 放課後の教室。授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、皆が手早く帰りの支度を始めた頃。藤崎 裕美香(ふじさきゆみか)に声がかかった。裕美香が顔を上げると、そこにはどこか含みのある笑顔を浮かべていた親友の姿。
『薫ちゃん』
 裕美香が彼女の名前を呼ぶと、彼女は一つ前のすでに空席となったそこに座って顎をついた。
『アンタ真面目なのはいいけどさ、そんな日くらい掃除当番サボっちゃいなよ。日山君とこの後待ち合わせしてるんでしょ?』
『え、まぁ、うん。そうなんだけどさ……』
 裕美香はちょっと照れたように、しかし困った様に顔を反らす。薫はそんな彼女の顔をジーッと覗き込む。
『な……何?』
『何? ってさ。私に言う事あるんじゃない?』
『へ?』
『掃除代わって、って言ってくれれば、まぁ一日くらい代わってあげなくも無いんだけどな〜って』
 その言葉を聞いて裕美香は目をパチクリさせた後、ひとつ間をあけてから机に手をついて身を乗り出した。
『い、いいの!?』
『いいよ〜? ま、来週私も用事あってさ。ちょうど代わり探してたところって言うかさ。それでいいなら、だけど』
『もちろんっ! 本当にありがと、恩に着るよぉ〜』
 裕美香は顔の前で手を合わせてお礼を述べる。
 薫はそんな裕美香を見てふと我に返った様子で口を開く。
『アンタ約束忘れないでよね? 私から話振っといてあれだけど、アンタ忘れっぽいから』
 図星をつかれたのか、それとも心外だったのか。裕美香は慌てて首を振り全否定をする。
『流石に大丈夫だよ!? 掃除代わってもらっといて約束破るような最低じゃないって!』
『本当でしょうね』
『本当だって、来週のいつ?』
『火曜日。どう?』
『あぁ、火曜日。うん、大丈夫。その日は特に用事も無いし』
『オッケー、じゃあ契約成立ね。んじゃ、そう言う事で。いってらっしゃい、今日は私が掃除やるから』
『うん、ほんとありがとう! 今度ジュース奢るから!』
 そう言ってすでに身支度を終えていたカバンを手に取り、軽やかな足取りで教室を去る彼女。
 いつの間にか教室の外まで来ていた日山君の腕を取りながら、二人で廊下の奥へ消えてゆく。
 その時の嬉しそうな顔を思い出し、薫は口の端を吊り上げてクスリと笑った。

「それで? あの後裕美香のこと抱いたの?」
 薄暗い部屋の中にカバンを下ろし、彼女――朝霧 薫(あさぎりかおり)は振り返った。
 その視線の先に立っているのは、先週裕美香と手を繋いで楽しそうに帰っていった、『彼』。
 裕美香といる時には見せないような冷めた表情を浮かべる彼は、興味なさげに口を開く。
「それお前に関係ある?」
「やぁだ。ほんと、相変わらず私には冷たいよね」
 クスクスと笑いながら彼女は奥の部屋に進む。
 1Kであるが、一人暮らしなら十分な広さ。
 テーブルとベッドと、少々生活用品が転がっているが、散らかっているという印象はない。
「何か飲むなら適当に冷蔵庫から出しといて。あ、私の分もコップ用意して――ん」
 用意しておいてね。そう言い終わる直前、薫は突然腰に手を回されて抱き寄せられた。そして押し付けるように唇を奪われる。
 そのキスに恋人同士のような甘いものは無い。
 ただ欠けた欲求を満たす様に、乱暴に舌を絡め合う。
 そうする事数十秒、ようやく唇が離れ、自由が利くようになった口で薫はわざとらしく困ったような声を上げた。
「ちょっと、着いたばっかり……」
「だるい会話はいい」
 心底面倒くさそうにため息をつく彼。そうして今度は彼女の首筋に唇を寄せ、乱暴に胸に触れる。
「あ、ちょっと」
 彼女は軽く抵抗をしてみせるが、彼が気に留める様子はなかった。自分の想うがまま薫を勝手に扱う。
 突然彼が薫を押した。バランスが取れなくなって、後ろに倒れそうになるが、それを上手に支えてそのままベッドへと薫を押し倒した。
そして再び欲求をぶつけるように乱暴に唇を奪う。その乱暴な口づけを終えた後、薫はからかうようにクスクスと笑った。
「相当溜まってるよね。やっぱり、させてもらえなかったんだ」
 そう言った途端、彼は目を見開いた。そして不機嫌に表情を歪め、乱暴に薫の脚を抱えた。
 とぼけたように色っぽい声をあげる薫を見下ろし、彼は言う。
「いちいちうるせぇな、セフレの分際で」
「やぁだ、ちょっとからかっただけじゃん。大事にしてるんだね? それとも抱かせてもらえないだけ?」
「そう言うのが減らず口って言うんだよ」
 不快そうに舌打ちをする彼。 
 しかし、その苛立ちは答えを口にしているのと同じだ。
「経験無さそうだもんね、裕美香って。純粋無垢って感じ」
(まぁ、だからこんなクズ2人に騙されるのよね)
 そう考えて浮かべた笑みは自嘲ではない。
 愚かな友達を馬鹿にした、悪女の笑み。
 不機嫌な彼に笑いかけ、薫は笑う。
「何、今更罪悪感覚えちゃったりしてる?」
「まさか。セフレ抱くとかマスターベーションの延長だから」
 そう鼻で笑った彼。そんな彼に同調するように笑みを浮かべる。
 そう、お互いが欲求を満たしている、たったそれだけの事。
 たったそれだけの、体だけの関係なのだ。
 だけど、彼には大切な人がいて、私は友人を裏切っている。
「ふふ、ほんと冷たい」
 なんて思わせぶりな台詞を吐いてみるが、お互いにその気はない。お互いそれを分かっている。
 やがて、二人の快楽を満たすためだけに体を重ねた。
 艶めかしい声を吐いて、体を捩って。
 乱暴に、奪うように。

 もちろん今日が初めての関係ではない。
 裕美香と彼が付き合い初めて三か月頃の倦怠期から始まった関係だ。
 ずっとずっと大切な人を、友達を 裏切って。
(あぁ――私達、なんて最低なのかしら)
 しかし、だからこそ。

「んっ、あ……ああぁっ」

 最高に、燃えるのだ。

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