大人オリジナル小説

ピザ5/4枚の難問を解け 〜仮分数と帯分数〜
日時: 2020/02/25 21:33
名前: 山本蒼紫

プルルルル・・・(呼び出し音)

ピート「(怪しげな声で)もしもし。四角ピザさんですか?おすすめピザの配達をお願いします。枚数は・・・(メモ用紙に5/4と書きながら)5/4枚。ヒッヒッヒッヒッヒッ・・・」

〜算数課〜

2時間経ってもピザの配達が来ないので雷が怒っている。

雷「もう2時間も経ってるわ。いくら何でも遅すぎるわ」
電「文句を言ってもしょうがないのです」
雷「お腹が…」

グー・・・(お腹が鳴る)
コンコンコン(ノック)

雷「あ!おっと・・・」
食パンマン「四角ピザで〜す」
雷「あ〜、来た!来た来た来た〜!」
食パンマン「お待たせしました。おすすめピザ2枚になります」
電「おいくらですか?」
雷「いっただっきま〜す!・・・ん?ピザが・・・冷めてるわ」
電「え・・・?」
食パンマン「大変申し訳ありません!」
電「何かあったのですか?店長が直々に配達しますなんて」
食パンマン「実は、アルバイトが全員やめてしまって、私一人で配達まで全てやってるんです」
雷「え?」
電「何でやめてしまったのです?・・・ん?」
食パンマン「これです」

電「数字の臭いがするのです。この5/4というのは?」
食パンマン「その方は必ずピザを5/4枚注文するんです!」

〜回想・四角ピザ屋〜

食パンマン「おすすめピザを5/4ですね。・・・えっ?4枚ですか?5枚ですか?」
ピート「5/4枚って言ってるだろ!!(怒)」
店員「5/4枚と言われましても・・・1/4・・・2/4・・・3/4・・・4/4。4/4までしかありません」
ピート「5/4枚がほしいんだぁ!!(怒)」

食パンマン「5/4枚は作りかねます・・・」
ピート「チラシの言葉は嘘なのか?」
食パンマン「え?」
ピート「お前の所は嘘つきなんだな?訴えてやる!!」

〜終了〜

食パンマン「毎日電話をかけてきて、嫌がらせにも程があります。大体ピザの5/4枚なんて聞いた事ありません」
雷「う〜ん・・・この四角いホールピザ1枚を、同じ4つの大きさに分けた内の1つ分が1/4枚。2つ分で2/4枚。3つ分で3/4枚。4つ分で4/4枚。確かに5/4枚はないよね」
電「『仮分数』ですね」
雷「『仮分数』?」
電「分子が分母より大きい分数、または分子と分母が等しい分数を仮分数というのです。世の中には1より大きい分数もあるのです」
雷「1より大きい・・・なるほど。私、答えが分かったわ」
食パンマン「本当ですか?」
雷「私が解決して見せるわ」

〜ピートの家〜

雷がピザの配達にやって来た。

雷「お待たせしました。店長に代わって雷がピザをお持ちしました。おすすめピザ・・・5/4枚です」
ピート「これのどこが5/4枚なんだ!」
雷「5/4は1より大きい分数よ。つまり5/4は、1とあとどれくらいで5/4になるかを考えればいいの。ここでの1は、4/4。なので、5/4は4/4にあと1/4加えればいい事が分かるわ。つまり、あなたが求めている5/4枚のピザは、このホールピザ1枚と1/4枚を会わせたピザなのよ」
ピート「そんな事は聞いておらん!」
雷「え?」
ピート「俺はあくまで5/4を頼んだんだ!5はどこへ行った!」
雷「あっ、5!?5はえっと・・・あれ?5はどこ?」
ピート「それにこのピザは、三角じゃないか!『四角ピザ』って名前なんだから直角の四角いピザを持って来い〜!!」
雷「え〜!?」

〜算数課〜

雷が元気なく帰ってきた。

電「あ、お帰りなさい」
雷「ただいま。電ちゃん、5/4と1と1/4って同じじゃないの?」
電「大きさは同じなのです」
雷「だよね!」
電「表し方が違うだけなのです!」
雷「表し方?」
電「5/4は仮分数なのです。1と1/4はこうやって書いて『帯分数』というのです。この折り紙で考えてみるのです」
雷「うん」
電「1・1/4は丸々1枚と1/4が1つなのです。そして5/4は同じ大きさですが、1/4枚が1つ、2つ、3つ、4つ、そして5つ。つまり、1/4枚が5つで5/4枚なのです。比べてみると表し方が違うでしょう?」
雷「うん、本当ね」
電「そのお客さんが求めてるのが仮分数の5/4だとすると、帯分数の1・1/4を持ってっても納得はしませんね」
雷「って事は、1/4に切ったピザを5つ持って行けば良かったのね。あ、でも四角じゃないとダメだわ・・・」
電「四角?」
雷「『四角ピザ』って名前なんだから、直角の四角いピザを持って来いって。そんなの無理だよね」
電「ん・・・?(雷の折り紙を広げてみる)そうですか!その手がありましたか!」

移動中・・・

ピンポ〜ン(チャイム)

ピート「はい」
食パンマン「ゴクリ(唾を飲み込む)」
ピート「今日はまだ頼んでないぞ」
電「あなたの希望を叶えに来たのです」
ピート「刑事に文句を言われる筋合いはない。俺はただ5/4枚の四角いピザが食べたいんだ!」
電「承知したのです(ピザの箱を開ける)」
ピート「な〜んだこれは!?」
電「ホールピザ2枚なのです。これを使って、5/4枚を作るのです。雷ちゃん!」
雷「はい。まず、四角いホールピザ1枚を4等分するわ」

雷はピザを縦に切り、長方形のピザ4つに分けた。

雷「そして、同じ大きさのもう一枚のホールピザも4等分するわ。(ピザを縦に4つ切る)この4等分した内の1つを、1/4枚とするわ。それを1つ・・・2つ、3つ、4つ。5つ。1/4枚が5つで、四角いピザ5/4枚!お待たせいたしました!」
ピート「(言葉に詰まる)じゃあ…7/4枚はどうだ!」
雷「お安い御用よ。6つ・・・7つ・・・1/4枚が7つで、7/4枚よ!」
電「この様に、1/4がいくつ分になるかを考えていくのです。そうすれば、どんな仮分数の注文にも答える事ができるのです。あなたはわざと仮分数の枚数を注文して、ピザ屋の営業を邪魔したのです。行き過ぎると犯罪になるのです!」
ピート「すまなかった。一人暮らしで、誰とも会わない日が続いてつい無理を言ってしまったんだ。もう迷惑はかけないよ・・・(詫びる)」
電「寂しさも溜まると溢れてしまうのです。過分数と似てますね」

食パンマン「さあ、折角だからピザ食べましょうよ。私のおごりです」
電「おお、有難いのです!」

END

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