大人オリジナル小説
- 分数詐欺のトリックを見敗れ 〜分母が異なる足し算〜
- 日時: 2020/08/29 21:50
- 名前: 山本蒼紫
キャラクターを変えます。
ナウス→HVC-012
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- Re: 分数詐欺のトリックを見敗れ 〜分母が異なる足し算〜 ( No.1 )
- 日時: 2020/08/29 21:51
- 名前: 山本蒼紫
洋菓子(ようがし)店「タルト・グランデ」で、男の客がタルトを買っている。
菊月「イチゴタルトと、チョコタルト。1/2と1/4だから、お会計は…(代金を計算しようとする)」
フリーザ「ははっ、簡単ですよ。僕が1/2+1/4を教えましょう。このチョコを使ってね(チョコを一つ手に取る)」
〜算数課〜
電「またタルトですね。近頃、毎日ですね。お店にお目当ての子でもいるのですか?」
雷「何言ってるの。私は純粋にタルトを食べたいだけよ!」
電「それにしてもこのタルト、随分でかいですね!」
雷「このお店は1個や2個じゃなくて、ワンホール何分の何って注文の仕方をするの。これは、ワンホールの1/3よ」
電「私は…そば屋に行ってくるのです。何かあったら、連絡するのですよ」
雷「は〜い。いっただっきま〜す!」
ATTENTION!ATTENTION!(コール)
雷「(食べながら)主任、ちょっと待って。はい!」
HVC-012「電、雷!事件デス!洋菓子店ノ『タルト・グランデ』カラ通報ガアリマシタ。店長ニヨルト、レジノオ金ガ足リナイソウデス。アルバイトノ菊月ガ疑ワレテイマス」
雷「菊月ちゃんが?」
HVC-012「至急現場ニ向カッテ下サイ!」
雷「菊月ちゃんがお金を盗むはずがないわ。必ず、私が疑いを晴らして見せるわ!」
〜洋菓子店〜
菊月「私はお金を盗んだりしていない」
長月「いや、しかしな。実際売り上げ、合わないんだよなぁ。」
雷「菊月ちゃん!菊月ちゃん…(駆け込む)菊月ちゃん!菊月ちゃんは無実よ。それは私が証明してみせるわ」
菊月「だ…誰だ?」
雷「警視庁算数課の、雷よ」
雷の捜査が始まった。
雷「菊月ちゃん、レジから離れたり、代金を貰い忘れたりしてない?」
菊月「違う」
雷「じゃあ、代金を間違えたのかしら?」
菊月「確かに計算を迷ったが、親切なお客様が丁寧に教えてくれたんだ」
雷「『丁寧に教えてくれた』?誰が?」
菊月「えっと、確か…買ったのがイチゴタルト1/2と、チョコタルト1/4。分子は、1+1で、2。分母は、2+4で、6。合わせて2/6だ」
雷「2/6って事は、約分すると、1/3か…ん?なるほど!この計算が間違ってるんだわ!」
フリーザ「何ですか?急に呼び出したりして」
雷「フリーザ。あなたは算数が苦手なアルバイトに、嘘の計算を教えて、代金を騙し取ったわね?」
フリーザ「いやいや…何を根拠に?」
雷「あなたは、1/2+1/4の答えを、2/6と答えたの」
フリーザ「はい」
雷「でも、正しい答えは…分母が違う分数の足し算では、通分してから計算するの。この場合は分母を4にして、2/4+1/4。答えは…3/4なの!」
菊月・長月「おぉ〜!!(拍手)」
雷「ありがとう!!」
フリーザ「ちょっと待って下さい!何で分母を4にするんでしょうか?」
雷「え?」
フリーザ「いや、だから分母を4にする理由ですよ!」
雷「え?決まりなのよ」
フリーザ「ん?」
雷「分母が違う足し算では、通分するってルールがあるの」
フリーザ「ん〜、それじゃ理由になってませんね〜。だってあなた、算数課ですよね?」
雷「ええ」
フリーザ「だったら、理屈を付けて説明しないと!」
雷「それは…」
雷はうまく説明できず黙ってしまった。
フリーザ「あれ?あれれれれ?どうやら説明できないみたいですねぇ!だったら、僕が…正解をお見せしましょう!」
〜算数課〜
すっかり打ちのめされた雷がソファーに寝そべっている。そこへ電が戻ってきた。
電「どうしました、フラれたのですか?」
雷「電ちゃん…それが…」
ATTENTION!ATTENTION!(コール)
HVC-012「雷!一人デ捜査ヲシタノデスネ?オマケニ算数ノ説明モデキナカッタソウジャナイデスカ。算数課ノ名ニカケテ、必ズ事件ヲ解決スルノデスヨ!」
雷「電ちゃん!!(怒)」
電「ごめんなさい!(平謝り)」
電「何なのです?この計算は。明らかに間違ってるじゃないですか」
雷「でも、説明されればされるほど、正しい様な気がしてきて」
電「ん〜…一体どんな説明なのです?」
雷がチョコを手に取る。
電「ん?…数字の匂いがしますね」
雷「このチョコを使ったのよ」
〜雷の回想〜
フリーザ「正解をお見せしましょう。いいですか?1/2は、チョコ2つのうち、1つが黒。1/4は、チョコ4つのうち、1つが黒。それを合わせると…チョコ6つのうち、2つが黒。つまり『2/6』なんです!」
〜回想終了〜
雷「あ〜、何でこうなっちゃうのかしら…」
電「諦めない諦めない。このやり方は、分数の大事な事を忘れているのです」
雷「大事な事?」
電「そうなのです!分数では、元の大きさである1が、同じ大きさじゃないといけないのです。全体を1とすると黒は全体の1/2」
雷「だよね」
電「次に、これも全体を1とすると黒は全体の1/4」
雷「あれ?でも、1としたものの大きさが違うわ」
電「その通りなのです!同じ大きさにするには…(図を動かす)」
雷「あっ!」
伝「これで名誉挽回なのです!」
雷「ええ!」
〜算数課〜
フリーザ「さっきの刑事、算数分かんないのに算数課だなんて笑っちゃいますよね!ほーっほっほっほ…」
菊月「だなぁ」
ゴー…(ドアが開く音)
フリーザ「イタタタ…ちょっと笑かさないで」
電「そんなにおかしいのですかね?」
雷「もう一度、算数課の説明を聞きなさい」
フリーザ「どうせ『ルールがある』とか言うんでしょう?」
雷「これを見て(タブレットの図を見せる)」
フリーザ「ん?うん。だから答えは2/6ですよ?」
雷「いいえ。あなたのやり方では、元の大きさである1としたものの大きさが違っていたの」
電「このままでは、計算できないのです。分数の足し算をする為にはそれぞれの元の大きさを同じにしなければいけないのです。この様にね…」
電は画面の1/2の図の幅を広げて1/4の図に幅に合わせた。
雷「でもこのままでは、1つ分の大きさが違うわ。同じ大きさに分けてみましょう。1つ分の大きさを揃える為に、分母を同じにするわ。それが『通分する』という事よ」
電「そして、2/4と1/4を足すという事は…2つと1つを合わせると、3/4になるのです」
菊月「答えが分かったぞ!」
フリーザ「こんなの…画像を使ったトリックですよ!」
電「では、実際のタルトで試してみるのです。どうぞ!」
菊月が実際のタルトを組み合わせる。
電「1/4のチョコタルトと、1/2のイチゴタルトを合わせると…3/4になるのです。それなのにあなたは、1/3の値段しか払ってなかったのです」
フリーザ「僕の負けです。どうしても試してみたかったんです。この分数トリックなら、騙せると思ったのに…(泣)」
電「フリーザさん!あなたの考えは、このタルトより甘〜いですねぇ」
フリーザ「うわぁぁぁぁぁぁ!!(滝涙)」
菊月が拍手をする。
長月「菊月、あの…申し訳ない」
END
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