大人オリジナル小説
- タイルの秘密を調査せよ 〜敷き詰め〜
- 日時: 2020/08/30 22:21
- 名前: 山本蒼紫
カチャッ、カチャッ(タイルを敷き詰める)
コンコンコン(金槌で叩く)
コケヤン「あ〜、あかんわ。お姉ちゃん、見てえな。床がボコボコしてるさかい、タイルが敷き詰められへんわ」
吹雪「えっ…えっ?あれ?ほんとです!」
コケヤン「地面平らにせなあかんから、工事代追加やな。100万円」
吹雪「えぇ、100万も!?そんな…困りました…」
コケヤン「毎度!」
〜算数課〜
雷「う〜ん、どっちかしら」
電「雷ちゃん、何を悩んでるのです?」
雷「実家のお風呂のタイルを交換するんだけど、どっちがいいかしら?情熱的な赤か、清楚な白か」
電「半分ずつ使ったらどうなのです?」
雷「赤と白で…紅白?」
電「おめでたいのでしょう?」
雷「えぇ」
ATTENTION!ATTENTION!(コール)
雷「あ、主任だわ」
HVC-012「電、雷、事件デス。オ年ヨリバカリヲネラッタボコボコ詐欺ガ次々ト起コッテイマス」
電・雷「ボコボコ詐欺?」
HVC-012「容疑者ハタイル会社社長、コケヤン。コケヤンハ、工事ノ途中ニ『床がボコボコで敷き詰められない』ト言イガカリヲツケ、床ヲ平ラニスル追加ノ工事代金ヲ要求シマス。デモ本当ハ、床ハボコボコジャナクテ平ラナノデス。トコロガ、何故カ被害者ハミナ『確かにタイルとタイルの間に隙間があった』ト言イマス。ソレガ最後ニハ隙間ナクピッタリト敷カレテイマスカラ、本当ニ工事ガサレタト思ッテシマウラシイノデスヨネ。コノ事件、タイルニ秘密ガアル筈デス。調ベテキテ下サイ!」
電「よし!コケヤンの会社に行きますよ」
雷「ええ!」
〜タイル会社〜
コケヤン「これが、いつも使てるやつですわ(タイルを見せる)」
雷「失礼するわ」
ごく普通の正方形のタイルだった。
雷「何の変哲もない普通のタイルね」
電「確かによくある正方形のタイルですね」
雷「並べてみて、隙間ができるかどうか試してみるわ」
並べ中…
電「隙間がないのです…つまり、敷き詰められるって事ですか」
コケヤン「そら、そうですやん。タイルが敷き詰められへんかったら仕事にならへんし」
雷「ええ。お時間取らせたわ」
コケヤン「はい」
その時…
電「ん?数字の匂いがしますね。あれは?」
コケヤン「ああ、別のタイルですわ」
雷「あのダンボール、お借りしても良いかしら?」
コケヤン「えっ…まぁ。よいしょ(ダンボールを持ち上げる)どうぞ」
電「…?(匂いを嗅ぐ)」
雷「電ちゃん、戻りましょう!早く!」
電「はい…」
〜算数課〜
雷がダンボールを開けてみた。
雷「思った通りだわ」
電「何がなのです?」
雷「コケヤンが使ったのは、さっきの正方形のタイルじゃなかったの」
電「と言いますと?」
雷「この中に、並べてみると隙間が出来てしまう四角形があるはずよ。私、試してみるわ。平行四辺形は…(並べる)あれ?敷き詰められるわ。じゃあ、台形は…(並べる)これも敷き詰められるのね。あ、きっとこれよ!こんな四角形、敷き詰められる訳がないわ。(並べる)何で?敷き詰められちゃったわ」
電「う〜ん…う〜ん…(考えこむ)そうですか。四角形は必ず敷き詰められるのです」
雷「え!?」
電「いいですか?この四角形の4つの角に、〇…×…△…□…と書いてですね。同じ四角形は…(並べる)こうすれば敷き詰められるのです。雷ちゃん、敷き詰められたこの点の角の大きさは?」
雷「えっと、ぐるっと一回転するから、360度だわ」
電「そうなのです!ぴったり隙間なく敷き詰められてるという事は、ここが360度になってるという事なのです。しかも四角形の内側の角の和は、360度。集まったこの4つの角の和も、360度で同じだから、どんな四角形でも敷き詰められるって訳なのです」
雷「はぁ〜、何よ。絶対に元々敷き詰められないタイルを使ったんだと思ったんだけどね〜」
バリン!!(タイルが割れる)
雷「あっ」
電「はぁ…(タイルを拾い上げて見る)ん!?なるほど!雷ちゃんの推理は、間違っちゃいないのです!」
〜倉庫〜
コケヤンがタイルの仕分けをしている。
コケヤン「これは、正方形。え〜、これは…違うと。え〜、これ…」
パッ!!(電気がつく)
コケヤン「うわっ!」
電・雷「そこまでだ!」
コケヤン「あかん!あかん、あかん…あっ!」
電「なるほど、その形でしたか」
コケヤン「何の事や?おっ、おおっ…(逃げようとする)おお!」
電「あなたはわざと元々敷き詰められない正五角形のタイルを使ったのですね」
コケヤン「へっ、何を言うてんねん。こんな奇麗な形をしたタイルが、敷き詰められへん訳ないやろ!」
電「本当ですか?雷ちゃん」
雷「ええ。正五角形の1つの角の大きさは、108度よ。2枚並べると、216度。3枚並べると、324度。360度にならないので、隙間が出来てしまうわ。よって敷き詰められないわ」
コケヤン「…!!」
電「あなたは正五角形のタイルを使って、わざと隙間を見せたのです。元々並べると隙間ができるタイルなのに、『地面がボコボコだから敷き詰められない』と嘘をついて…最後には敷き詰められる正方形のタイルを使って、工事が行われたと思いこませたのです。これが、あなたが考えたボコボコ詐欺なのです!」
雷「あなたがやった事は、善良なタイル職人を裏切る行いよ!」
コケヤンはがっくり膝をついた。
コケヤン「俺は、今まで騙されてばっかりやった。ある日、思たんですわ。騙されるより、騙す方が賢いんやないかって」
電「こんな隙間だらけの手口では…算数課は騙せないのです」
END
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