大人オリジナル小説

その先を見てみたい
日時: 2025/07/15 10:19
名前: 海月

一月の残雪がようやく解け始めた頃、私は路地裏を血に飢えた獣の様に徘徊していた。
私は小一時間ほどで、野良猫を二匹拾ってきた
一つは幼体で、もう一つは成体になりかけていた
それらの未来は明るいのだろうか。

もう事前に準備はしてあった、廉価のペットフードが数袋、段ボールで作られた簡素なトイレ、寝床は籠に毛布を被せただけ、簡易的な水飲み場も用意されている。
今日生きるのさえ必死だった、二匹には十二分といっていいだろう。
二匹を放つと興味深そうに家の中を見て回っていた。
此処は孤城だ。援軍のあてもなく。命の保証だけがある。だが、命は断ち切れない。
私は心でそう呟き床へ入った。期待に胸を

目覚まし無しに起きられたのはいつぶりだろうか、目覚めると日が昇り始めていた。
二匹はもう起きており警戒するような目でこちらを見ていた。
綺麗な瞳だった、抉り出したくなるほど黒く、光沢のある。二匹とも濁りは無かった。
私が二匹を捕まえた時の眼光とは全く違うだろう。本人でさえ言える本人だからこそ言える。
煤を被った納屋と新築のタワーマンションを比べているようなものだ。
天と地の差、雲泥万里、鯨と鰯だ。
餌をやり水をついでやった。
二匹の旨そうに飲み食いする様は、哀れだった。
一通り世話をした後私も早めの朝ご飯を食べた。

私がやりたいことは幸福の先を見ることだ、人間は楽な道を辿ろうとする。そうし続けた結果がいわば引きこもりや、ニートだろう。
ただ、それではつまらない、それをやり続けたらどうなるのだろう?野性味あふれる動物だとどうなるのだろう?
目は濁るのだろうか、狂うのだろうか、もしも死ねるなら二匹は死ぬのだろうか、二匹は幸せなのだろうか。
私はその先を見てみたい。

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