大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: 銀魂−沖田受メイン/たまに他カプ ( No.170 )
日時: 2011/02/04 20:27
名前: 祐希

お待たせしました!
刻鎖ちゃんお楽しみの(←や、別に楽しみってわけでもないだろう)『曇天』ですぜっ!
とくと、ご覧あれ!







ああ。
もうじき、夕立が来る。




『曇天』




「あれ」

見回りの途中。
振り向けば、あの憎たらしいチャイナ娘が一人で歩いていて。
あっちは俺に気付いていなくて、珍しくケンカも吹っかけてこない。

――つまらなかった。

鉛色した空が重く垂れこんでいて、気分も沈んでしまった。
沈んだ気分をごまかすように――耳鳴りを尖らせた。

前を向けば、ツバメが低空飛行でビルの谷間を駆けているのが見えた。
雨の匂いがする。
夕立がきそうだ――……ふいに、そう思った。


ポツ、ポツ と。
大粒の雨が、空から落ちてきて。
髪を、頬を、服を、濡らしていく。
後ろにいたチャイナが気になって、振り向いてしまった。

傘を忘れたらしいアイツは、曇天の道を歩きながら、――雨に怯えているように見えた。
だから、俺も。
心の隅にある弱さをぶら下げて歩き、空を仰いだ。
この想いが、届く前に――雨が止むように、祈った。




「サディスト……アルか?」

か細い声で語りかけられた。
声の主は分かりきっているから、あえて振り向かないことにした。
振り向いたら、この想いがバレてしまいそうで怖かった。

「どうしたんでィチャイナ。今日は勝負しねぇのかィ?」
「そんな気分じゃないアル」

何があったのか、誰と過ごしていたのか、聞いてしまいたかった。
でも、やっぱり臆病な俺は聞けなくて。

「ふうん……。じゃ、俺の武勇伝でも聞くかィ?」

なんて、関係ない話を持ち込んでしまった。
本当は、チャイナに『好き』と伝えてしまいたかった――苦しかった。一人で抱え込むのが。
だけど、言うつもりなんてなかったんだ……なのに。



「俺ァ、チャイナが好きですぜ」

何で、言ってしまったんだろう。疑問で疑問で仕方がない。
嫌われていると分かっていて、何故告白してしまったのか。
ああ、もう。
何も考えたくない。


「…………私も、アル」
「え?」

返って来たのは、予想外の言葉。

「だから・・・私も、――って言ってるアル!」
「……何て?」
「だからぁーっ! もういいネ! お前なんか知らないアル!」
「って! んなの、ずりーや! ちゃんと言いなせェ!!」

抱えていた想いが、すうっと消えていく。
とたんに、恥ずかしくなってきた。

「「・・・///」」

――俺達は、夕立が止むまで、ずっと抱き締めあっていた。