「沖田先生っ! 3S¢4弾ですよー!」
「今度は、……山崎とか。楽しみだねィ、お前」
「――それはどういう意味で楽しみなんですかね。なんか嬉しくないです」
「大丈夫でさァ。深い意味はねーから」
「絶対ドS的な意味で楽しみだこの人!」
// 3年S組 沖田先生! 〜山崎退の開眼〜
えっとー、俺の名前は山崎さがr「ジミーでさァ」「違いますから!」
――気を取り直して、俺は山崎退。このクラスでは……まあ……その……。
地味な方に入るわけで。
さっき、沖田先生が言った通り、「ジミー」なんて不愉快な名前つけられてる。
まあ、その名前の由来は坂田くんが俺の名前忘れてただけなんだけど。
――つか、俺が地味なの定着してない? 嫌だなあ。
そんな地味な俺が、毎日をえんじょいして過ごすというのは想像もつかないだろうけど。
……それが、えんじょいしちゃってるんだよねー。
「おい、山崎? 起きてんのかィ? 寝てるんなら目ん玉引っ張りだして起こしやすぜ」
「そんな痛い起こし方しないでくださいよ……」
えんじょいしてる理由、その1。
この、目の前にいる超絶美形(一部山崎の妄想含む)な沖田先生がいるから。
――え? お前の目、老眼だって? ははは、俺まだ若いんだからね?
まあ、それがえんじょいしてる理由その1だよ。
こんな綺麗な先生がいるなら俺は、1年間欠席0で皆勤賞もらうね。
「山崎、なんかオメー目ぇきらきらしてやすぜ。気持ち悪っ」
「人の目に文句言わないでください」
あと、理由その2。
――それは、実は俺が腐男子だから……っていうこと。
沖田先生だけでも美形と言えるのに、幸いなのかどうなのかこのクラスには顔だけはいい人ばかりいる。
思い切り先生に向かって「好き好き」アピールを振りかざす銀髪天パ。
先生の幼なじみで見せびらかすように名前呼びをする瞳孔開きっぱなしなマヨラー。
俺と同じく地味だけど、影からこっそり先生を狙っているぱっつん眼鏡。
チャイナ兄とか眼帯とか、先生と同じ背丈でゆっくり忍び寄る輩もいる。
……まあ、俺にとっての楽園ってことなんだよ! あー、3S最高!
「山崎。俺、全然喋ってねーんだけど。おい、モノローグだけで済ます気かィ」
「大丈夫です! 脳内では先生と会話しましたから!」
「お前どんだけ残念なやつなんでィ……しかも俺ァ目の前にいるってのに」
山崎退、腐男子に目覚めましたっ!