11.
「総一郎くーん。行くぞー?」
「銀兄、俺ぁ総悟ですぜ」
いつものように名前を間違えて(あ、わざとだよコレ)通いなれた学園へ歩を進める。
――出発地点が違うだけだ。
本当はコイツも「沖田くん」って呼ぶつもりだったんだけど、他人から見たら俺も「沖田」だからねぇ・・・。
沖田君の親のおかげで、俺はまだ「坂田」と名乗ることができる。
唯一の、俺と父さんを結ぶ絆だと思ってたから。
――ま、別にいいだろ「総一郎くん」で。
「総悟」って・・・呼びにくいし何か。
こうして、俺と総一郎くんの義兄弟生活が始まった。