ん・・・んぅ
っ頭くらくらする・・・
「・・・大智」
「っは・・・長えって・・・」
ちょっと気まずい。って、もとはと言えば俺が初にキスしたんだけど・・・こんなことになるなんて思わねえってふつう・・・
「・・・・・・俺ん家来ねえ?」
そして、こいつは、俺を好きだっていう。しかもずっと前から。
じゃなんで言わなかったんだよ。
「・・・おお行く」
「んなおま、わかってんのか?」
「来てほしくないなら」
「いやいやいや来てほしい!」
「じゃーとっとと車行くぞ!」
彰はいつもこうだ、誰にでも優しくて一歩必ず引く。俺はいつもそんな彰に助けられてきた。げーげーに酔っぱらっても。仕事で失敗した時も、部活で負けた時とか、うわ俺かなり迷惑・・・今日だって・・・今までずっと散々振り回してきた。
「お前っていつから俺のこと好きなんだ?」
車に入って俺が助手席。乗りながら彰に聞いた。
「小学の六年の時だったか・・・」
「そんな前!?」
「あれはたしか・・・修学旅行の布団の中」
「おう」
「好きな子の話してて、お前は当時さくらちゃんが好きでなー」
「あー髪の長い」
「そー、お前髪長い子好きな」
「まー」
「さくらちゃんのことが好きだって初めて言った時のお前の顔。にドキドキしたっていう」
「顔?」
「お前、真っ赤になるんだよ。そんで苦しそうでな・・・その、なんて言うかすごく・・・」
小学生でかよ!?
「んで・・・今までずっと?・・・てかお前彼女いなかったっけ?つか童貞じゃないよな」
「おうともよ」
「え、もしかして彼氏・・・」
「ちょっと待て!俺はゲイじゃない!」
「だって」
「好きになった大智がたまたま男で、俺もたまたま男だっただけだ!」
うおう、声がでかい・・・と彰も思ったのか急に声が小さくなってぼそぼそと話し始める。
「中学時代はそりゃあ悩んだ、なんで俺、男なんだろうって・・・当時暗かっただろ?落ち込んでると大智が来るじゃん。かえって逆効果で途中、お前の告白目の当たりにして諦めかけて自棄起こして彼女作った。髪の長い子。んで結局だめで・・・ていう」
そうだったんだな・・・今さっきまでずっと思いを隠してたんだ。・・・俺は一か月で言い放ったけど、でも一か月悩んだ
「俺のどこが好きなんだよ」
「この、クラスの人気者め。お前がいなかったら根暗人生歩んでたんだろうよ、俺は」
「バンド始めて、お前もすげー人気者だったじゃんかよー」
「バンド始めたのもお前のおかげじゃんか。それにボーカル様が何言ってんだか」
「じゃ、お前歌えよ」
「大智の歌聴くの好きだからいいや、お前の歌、特等席で聴ける」
んな・・・
「お前はよくそんな恥ずかしい台詞を・・・」
「作詞作曲誰がしてると思ってるんだ」
「へーへー作曲家様」
「・・・なー俺の曲好き?」
「・・・気に入ってる」
「・・・好き?」
言えねえ。好きだけどなんか言えねえ・・・
「大智、俺のこと好きって言って」
赤信号め、空気読みやがって、彰がこっちを向くので俺は窓から見えるカップルに顔を向けた。
「なんだってまた言わなきゃいけないんだよ!」
「何度でも聞きたいよ」
微笑む顔と声、この野郎・・・
「言わなくても・・・わかるだろうが・・・・・!」
「うわー大智ツンデ
「言うなわかってんだよチクショー!」