大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: ハイキューBL ( No.140 )
日時: 2014/08/27 23:20
名前: 鑑識

おおう長らくお待たせいたしました。宿題が終わらなかったのです滅亡しろ。
ふるるさんリクエストの月影です。誰がなんと言おうと月影。初書きだよこの!キャラ崩壊覚悟してくださいこの!












勉強を教えてもらいたいのだという。



最後に残ったコメ粒を摘んで、口に含む。どちらかというとパン派閥である自分にとって、大量のご飯はなんとなく苦手だった。

ぱくり、蓋を閉じて、ナプキンを結んだ。弁当袋に入れて机の右脇に提げておく。
ポケットから取り出した端末にイヤホンを繋いで再生ボタンを押すと、既に聴き慣れてしまった曲が流れ始めた。少し音量を大きめにして、心の中でリズムを刻む。


そうそう、聴き慣れても聴き飽きないこの感じがすごくすごく、




「おい、無視すんなよ」

「頭が高い王様にかける言葉もございません」

「王様いうな!」

「だったらもっと言うことがあるんじゃないんですかー?」

「ぐっ....」




むぐりむぐりと苦虫を噛み締めて尚且つ苦渋を飲まされたような表情はそれはそれは、端正な顔が歪んで笑えてしまうものだったけれど、あくまで無表情を取り繕った。

ちらり、座っている自分からはいくばか高い顔を盗み見る。それから、自分の目線くらいまで視線を下げてみたのだけど、いつも取り巻きにいるというか引っ張り回しているはずのオレンジ頭が見当たらない。

そんな視線を(珍しく)察してか、頭上から低い声が響いた。



「日向はヤチサンとこ行った」

「王様も行けばよかったんじゃないの」

「俺は月島に教えてもらいたかった」



思わず顔を上げる。目が合った。

まっすぐまっすぐ見つめられた視線がどことなく気まずくてもどかしくて、視線をそらした。いつも目の前でともに昼食を取るそばかすは、今日に限って委員会とやらでそこにはいない。こんなことならついて行くべきだったと舌打ちを一つ。
あくまで目は合わせないように、少しだけ視線を上げた。



「意味わかんないんだけど。この前谷地さんのがわかりやすいって言ってなかった?」

「わかりやすいのは、谷地さんのがわかりやすい。やさしいし、丁寧だし、バカにしないし」

「だったら、」

「でもなんでかわかんねーけど、お前の方がいいかもって、思っちまった」

「は」



何を言っているのだこいつは。何一つ曇りの見えない純粋な瞳で、中身を見るまでもなくわかるバレーのことしか詰め込まれない脳で。

あまりに唐突なその発言に、用意していた軽口は全く舌に乗せることができなかった。仕方なくぐっと飲み込むと、なんだか苦い。

眉間に皺を寄せれば、それをどんな意味にとったのか少し眉を下げた。



「だめか?」

「........だめ、っていうか」

「いいのか?」

「うるさいよめんどくさい」

「どっちなんだよ!」

「あーも、うるさいって言ってんの!」



いつもはこれくらいで心を乱されることなどないのに、寧ろ倍返しにするくらいのはずなのに、何故か上げた声は随分と荒らげられていた。同時に鳴った椅子と床のこすれる音に、教室内が静まり返る。

そのことにさらに皺が寄った眉間を見て、彼は言う。



「お前の目、すげぇ綺麗だな」

「なんで今その話なの....」

「いや、見えちまったから」

「いつでも見れるでしょ」

「改めて見たら好きな色だと思った 」

「........」



見ていたのは眉間ではなく、瞳だったらしい。
なんだかもう言葉を返すのも面倒になって、腰を下ろした。座りなれた高さの椅子がからだを支えてくれる。

なんだかよくわからない発言をした影山は、少し姿勢を低くすることで瞳を覗き見ていた。居心地が非常に悪い。

全力で逸らし続ける自分と、ひたすら追い続ける影山。そろそろ冷静になってきた頃、目の前で考え事をする素振りを見せていた影山は、なにか思い出したように閃いたように、目を見開いた。



「あ、わかった」

「....なにが」

「俺が、お前に教えてもらいたいと思った理由」



それはそれは、こちらもたいそう気になるところであったので、視線を合わせることで先を促した。妙に気を良くした影山は、大きく息を吸って、いつも見られないようなさわやかな笑顔で、だらりと机に伏せていた左手を取って、言った。






「お前のこと、好きだからなんだろうな」






静まり返る教室。

頭の中にこだまする彼のセリフ。

処理の追いつかないクレバーなはずの脳内。

にっこにことスッキリした表情を浮かべる影山。

クラスメートはこそこそとなにか密会をはじめた。おいそこ聞こえてるぞ、あの月島くんが、じゃない。




「は、なに、言ってんの」

「だから。多分お前のことが好きだからお前に教えてもらいたいと」

「いやそれはわかった。わかりたくないけど、わかった」



聞きたいのは、その「好き」の種類だ。
考えたくもないけれど、まさかまさか恋愛的な意味でということも、彼ならばないこともないこともない。
どくりどくりと波打つ心臓を、正確にはその上の上の上の更に上に被せられたワイシャツを握り締めた。

そんなはずは、ないのだけど。



「やっぱお前の教え方のがしょうに合ってるからだろうな。お前性格悪いけど頭いいし」

「一言余計」



いや、これはなんてことない「好き」のほうだろう。影山の発言に、その可能性が圧倒的に高まる。
同時に、働かなかった頭と舌は仕事を果たすようになって、きっと恐らく多分、いつもと同じように話すことができるようになった。




ただ、問題なかった筈なのに、自分の不安による体調変化も収まった筈なのに、







あぁなんだか、胸のあたりがもやもやするのだ。








きっと彼の発した「すき」のふた文字から来ているのであろうことは、容易に想像することができた。だってそのとき、自分の体になにか電流が走った。




よくある話だ。この間読んだ携帯小説の主人公とヒロインもそうだった。一年くらい前に読んだ文学小説もそうだった。










(人間というものは、好意には好意で返さなければならないと本能で考える生き物らしい)












告白されて意識するようになった、なんてありがちな話。



きっと自分の場合は、そのずっともっとまえから、意識の底で彼を見ていたのかもしれないけれど。
















月影だよ!影月じゃないんだよ!初めて書いたよ!よくわかんないよ!