大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: ハイキューBL ( No.158 )
- 日時: 2014/09/15 20:55
- 名前: 鑑識
後編ですん。
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日課となった彼とのジョギングのために、待ち合わせ場所へと向かった。どことなく重い足取りで、しかし彼が既に到着しているとわかると、駆け足で近寄る。
彼は視界に入った俺の姿を見て、そして開口一番に、言った。
「苦しいんだ」
「え?」
「大地を見ていると、苦しくなる」
「、どういうこと、だ」
嫌いになったのか、とは続かなかった。恐れていたことが起きてしまったのか、と頭の中では案外冷静に状況を見ているのだけど、しかし口に出してしまうことははばかられた。
「自分でも良くわからないんだ。俺はお前のことを評価している。嫌いになる要素など俺には思い浮かばない」
「じゃあ、どうして」
「大地にも、わからないのか」
「、あぁ」
「なら、大地」
あぁ、きっとこれまでなのだ。
彼は俺とともにいる意味をついに見いだせなくなってしまったのだろう。無意味なことに、バレーボール以外のことに時間を費やすことに、体が拒否反応を起こしている。ならばこれから俺は、切り捨てられる道しか残っていないのだ。
「俺は、」
「待って、待て、言わないで」
「大地?」
「頼むから、もう少しだけ、傍にいさせてくれないか。俺はもう、お前がいないと、ダメになったみたいで、」
「大地、落ち着け、」
「わかってるけど、俺じゃお前に何もしてやれないけど、頼むよ、頼む」
「大地!」
息を呑んだ。しつこくいつまでもすがる俺に、怒りを示したのだと思った。
俯けば、彼は俺の頬を引っ掴んで、上を向かせる。逃げ場はないと言わんばかりに視線を合わされて、どうしようもなく息が苦しかった。まるで、最初に出会った頃に戻ってしまったみたいで、涙が出そうだった。
「バカかお前は」
「へ、」
「俺がいつお前を切り捨てるなどと言った。俺がいつお前が必要ないと言った。勝手に思い込んで俺の気持ちを決めつけるなバカ」
「で、でもお前、」
「やかましい。俺にはお前が必要だ。それを言うために来たというのに、何だその態度は」
彼はなんだか怒っている様子だったけれど、俺には全く理解が追いつかなかった。彼が何をいいたいのか、わからなかった。
「、俺はこれまで、らしくもなくかなり悩んでいてな。なぜお前を見ると胸が締め付けられるのか、考えた」
「お、おぉ」
「医者には健康体だと言われるし、チームメイトには驚いた顔で微笑まれるだけに終わるし、誰も彼も俺の感情を教えてはくれなかった」
「医者にまで当たったのか....」
「しかし、ようやくわかった。大地が言ったバカなセリフのおかげで、ようやく気づいた」
むにむにと掴んだままでいた俺の頬を離すと、しかし逃がすまいという姿勢は変わらないようで、今度は肩に手を置いた。痛い。
「俺は、大地を傍に置きたいと思っているようだ」
「は、」
「理屈はわからんが、大地がいないと落ち着かない。何かとあると大地を探してしまう。喜ばしいことがあれば、大地に報告したいと思う」
「それ、は」
「どうやら頭がおかしくなってしまったみたいでな。これまでバレーボールの今とばかり考えてきたから、こういった感情を抱いた時にどうしたらいいのか、わからないんだ」
彼は相変わらずの、表情が読めない顔でそう告げた。教えてくれないか、と、ただ素直に彼は、この感情の名前を俺に聞きたいようだった。
「あぁ、わかるよ、俺にはわかる」
なんだか初めて、彼に親近感を覚えたような気がした。俺と同じものに苦しんでいたことが、嬉しくてたまらなかった。
「それはな、多分、恋ってんだ」
「こい、」
「わかるか?恋」
「それくらいわかる。ただ、それは普通男女間に生まれるものじゃないのか」
「普通は、な。同性愛なんてタブーもいいとこだ」
「おかしいのか、俺は」
「その理屈でいえば、俺もおかしいよ」
「ならいい」
「いいのか」
「あぁ。恋で、いい」
「自分で言うのもおかしな話だけど、俺はそうなんだって信じたい」
「大地がそう言うのなら、きっとそうなんだろう」
過度な信頼を置かれていたことに苦笑して、ついに零れ落ちた涙を拭った。困惑する彼をよそに、話を続ける。
「あーも、悪いな、女々しくて」
「大丈夫なのか」
「すまん、ありがとう。あー、それで、な、こういう時どうしたらいいか、だけど」
掴まれていた手を外して、腕を広げた。ぽかんと見つめる彼をよそに、俺はただ小っ恥ずかしくて、視線をそらす。
「こういう時はな、黙って抱きしめるんだ」
抱きしめる。彼は俺の言葉を反復して、流石にそれくらいやり方はわかるらしい。俺の背中に手を回した。俺もそっと、厚い体に腕を回す。
きゅっと少しだけ力を込めれば、彼もまた力を入れることで答える。
「いてててて!待て、強すぎだ!落ち着け!」
「す、すまん。大丈夫か」
「もっと優しくでいいんだよ」
「わかった」
彼はひとつ頷いて、また少しだけ力を込めた。
俺はといえば、ただ俺の意思に逆らってこぼれ続ける涙を彼のシャツに落とさないよう必死で、しかし上手くいかないことに唸るばかりだった。
(なんだ意外と、呆気ない)
「なるほど、これは確かに、いいものだな」
「んとに、お前はバカだなー」
「大地程じゃない」
「空気読めばか」
「空気くらい読める」
「そういう意味じゃねーって」
後半手抜きだなんて言わないでください。収集つかなかったんです。