大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- 黒大ちゃん ( No.18 )
- 日時: 2014/07/22 22:04
- 名前: 鑑識
キャラが定まりません誰かなんとかしてください。
我ながら、随分と料理がうまくなったものだ。
先程まで味噌汁が揺れていた味見用の小さな皿を洗いながら、ぼんやりと思った。
鍋から昇り続ける湯気に蓋をして、腰に巻いたエプロンの紐をしゅるりと外す。
あとは彼の帰りを待つのみにして、リビングのソファにどかりと腰掛けた。
同時にこぼれたオヤジ臭いため息にげんなりする。
「早く帰ってこーい....」
猫目でトサカ頭で元音駒バレー部主将である黒尾鉄朗と、同棲を初めてもう2年になる。
なんとか同じ大学に合格した時には、それはもう大喜びしたものだ。
既に引越しを済ませた部屋に帰って、未だダンボールまみれの部屋で愛を囁きあったのは記憶に新しい。
それから同棲するにあたって家事を分担することにして、掃除が好きだという黒尾に掃除洗濯全般を。
家事なんて手伝いくらいしかしたことのない俺は、とりあえず料理でも初めてみることにした。
初めはどこから手をつけたものかわからなくて、とりあえず本に書いてある通りに調理を進めるばかりであったがしかし、慣れてくるとこれが案外楽しい。
アレンジを加える余裕が出てくると、如何に安上がりに尚且つ満足できるのかに生きがいすら感じるようになるのだ。いやこれが結構マジで。
まぁその根底にはもちろん、おいしいおいしいとべた褒めしてくれる彼がいるからなのだけど。
....なんかノロケみたいだな。やめとこ。
「ただいまー」
「おっ、おかえりー」
ぱたぱたとスリッパの間抜けな音が近づいてくる。
俺は変わらずソファに深く腰掛けたままで、彼を待った。
冷たいな、出迎えに行ってやれよだって?ノンノンノン(真顔)。
出迎えに行くと痛い目を見るのだ。
「ただいま大地サン!」
「よぉしおかえりぃぃい!」
しなやかなステップで右側前方から駆け寄ったトサカ頭は、ほぼラリアートの形で駆け寄って....否、突っ込んでくる。
タイミング良く身を引くことで衝撃を和らげると、ぽんぽんとふかふかの頭を叩く。安心したように肩口に顔をうずめる姿を見て、あぁ好きだなぁと実感した。
さて、説明しよう。
俺たちが通うのは同じ大学とはいえ、学部は違うので、案外帰りの時間が合うことは少なかったりする。
そこで俺たちの中の「おうちルール」として、【先に帰ったものが風呂の掃除を済ませ、相手の帰りを待つ】というものが生まれた。
要約するとつまり、先に帰ってろ、ということだ。
相手を待たせるのも申し訳ないし、自分の時間も欲しいだろうという配慮を持ってのことだ。
決して愛情の不足ではなくて寧ろ愛あってこそのげふん。
遡ること初めて俺が先に帰ってきた時のことだ。
風呂の掃除をして、慣れない手つきながらも料理を終えて彼を待っていると、「ただいま」となんだかしょぼくれた声がして。
何事かと返事の言葉とともに玄関へと続くドアを開けた。
バタバタと騒がしい音と共に駆け寄ってきた黒尾はその勢いのままに俺に抱きついてきて、全くの不意打ちに対応することができなかった俺は床に後頭部を強打。
悶えもんどりうつ俺に彼もようやく気づいたようで、ひたすらに頭を下げられた。
本人曰く、
「家に帰ってドアをあけた時によー、大地サンがいるなぁって思ったらなんかこう、むぎゅぅーっとしたくなんだよなぁ。むぎゅぅーっと。なんだ、安心感っつーの?そういうもんが内側から溢れ出してんだよ。これは止められない衝動」
だそうで。知ったことか。
それから俺たちの中の「おうちルール」には追加修正が入る。【風呂の掃除をして、相手の帰りを待つ(出迎えてはならない)】と。あ、俺が遅く帰ってくるときは俺が同じことをするのでお互いに、だ。
新しい環境ってのは案外ストレスが溜まるのだ。仕方ない。
閑話休題。
1分ほどして満足したらしい黒尾は、のそりとした緩慢な動きで俺の左隣に深く腰掛けた。
これまたオッサンくさいため息をついた彼に一つ笑みをこぼして、不思議そうにこちらを見る姿にまた笑った。
「今日はチキンソテーのオレンジソースだぜ」
「何だそのおしゃれなの。肉か、魚か」
「どっちかって言えば肉だな」
「どっちでも旨いからいいんだけどな」
「そうかそうか」
嬉しいことを言ってくれる。
少し上機嫌になった俺は、イスに座るよう促して、逆さまにしておいた茶碗にご飯をよそう。
今日一番自慢の味噌汁と共にテーブルに並べると、お洒落なはずのチキンソテーとの組み合わせがなんとも不格好で、これは失敗したなと顔をしかめた。
「おぉ、めっちゃうまそう」
「うーん、なんかアンバランスだな」
「まぁまぁ、いいから早く食おうぜ。冷めちまう」
「おぉ」
黒尾の向かいに座って、黒い箸を手に取る。
いただきます、と妙に大きな声で叫ぶと、山盛りのご飯片手にガツガツと食い荒らし始めた。一見荒々しい食い方のくせに、一つ一つの料理にこれがうまいここが好きだと評価をくれるのがむずむずしてたまらない。
しかも食い方が綺麗だ。くそ、大好きだこのやろう。
「俺も好きだぜー」
「なっ」
「表情が素直すぎるっての」
「........お前も俺のことすきすきーって顔してんぞ」
「まぁその通りだからな」
「....もういい」
喜んでいいんだか怒っていいんだかわからなくなって、自慢の味噌汁に口をつける。
「あ、今日久々にしよーぜ」
「ぶふっ」
「おっ、大丈夫か」
そして吹き出した。
ケタケタと笑いながらティッシュを差し出すトサカ野郎を力の限りに睨む。
確信犯かこの野郎。
「お前、タイミングってもんがあるだろ」
「いやぁ、ちょっと俺のいたずら心ちゃんが暴れだしちまって....で、どうする?」
「あー、まぁ、」
してやらんことも、ないと、思う。
実際最近ご無沙汰であることは事実であるし、そういう気分でないこともない。
ちらりとトサカの様子を盗み見ると、ニヤニヤと嫌な顔をしてこちらを見ている。
あれは「俺は全部わかってるけどでも本人の口から聞きたいなぁ答え合わせしたいなぁどうなのかなぁ」って顔だ。嫌な顔だ。しかし頑固できっとどんな手を使ってでも言わせる顔だ。
「........してやらんことも、ないこともないわけではない」
「いやいや、俺は無理やりするのは趣味じゃないんでなぁ、大地サン本人がどう思ってんのかを、聞きたい訳ですよ」
「クソこの野郎....」
「どうとでも言え」
「................したい、」
「よくできましたー。お風呂は一緒に入ろうな」
「ほんと後で覚えてろよ....」
その後のことは、言うまでもない。
オチってなんですか\(^o^)/