大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: ハイキューBL ( No.46 )
- 日時: 2014/08/10 11:33
- 名前: 鑑識
影大試してみました。ええそうです。オチはどこですかシリーズです。
俯く彼と向き合って、もう何分経っただろうか。
きっと手汗でいっぱいなのだろう両手を、握り締めてはもそもそと動かして。
時たまうーとかあーとか呻きながら、こちらの様子をちらりちらりと覗き見る姿には胸がしめつけられる。
言い方を変えよう、きゅんきゅんする。
かくいう俺もまた、緊張するわいっそ襲ってしまいたいわでも怖がらせるのもなんだしと、つまり緊張に頭がいっぱいだ。もともと弱い頭にこういう非常事態を持ってくるのはやめて欲しい。爆発してしまう。
目の前の彼が意を決したように顔を上げた。表情にはまだ迷いが見えるものの、先程よりは決意が固まったようだ。
ひとつ深呼吸。
俺も同じく顔を上げて、なんとなく背筋を伸ばした。
ついに、ついにようやくなのか。
「っ来い影山!」
「えっはい!!」
勢い良く広げた腕の中に、おずおずと近寄っていく。
無駄に大きな声で叫ばれたのは思っていた内容とは違うがしかし、先輩に命令系で言われるとつい従ってしまうのは運動部のサガなのか。
背中に腕を回して、軽く抱きしめてみる。がっしりした体型とは裏腹に意外と小さい(バレー部基準)身長はすっぽりと腕の中に収まって、密着した首筋に荒い吐息がぶつかった。
少しだけ力を強めてみる。広げっぱなしだった腕が、ゆっくりと俺を閉じ込めるように後ろに回っていく。触れるか触れないかくらいのところで止まると、ほとんど声になっていないうめき声をあげながら、触れては離れてを繰り返された。
あぁかわいい。
かわいいのだ、これはこれで今日はもう満足して帰ってしまえるくらいには満足なのだ、けど。
「あの、大地、サン」
慣れない名前呼びに、おぼつかない揺れた声で返事がされる。
「その、これはこれですげぇ幸せっつーかイイんですけど」
「........おう」
「今日は、キス、するんですよね?」
「............。」
あっ、返事がなくなった。
助けを求めるように、現実から逃げ出すように擦り寄られて、ああもう死んでもいいとか思ってしまうけどここは心を鬼にして。
今日こそ、今日こそすると決めたのだ。
遡ること大体2ヶ月前。
なんとなく二人きりになった部室で、なんとなくぽろりとこぼれた「好きだ」という俺の言葉と、「俺も好きだ」という彼の言葉から、恋仲という名の関係は始まった。
まさか口に出ているとは思わなかったことによる焦りと、そんなぼんやりした告白に真剣に返されてしかもそれがオーケーだったことによる驚きで、中々実感は湧かなかったけれど。
なんとなく始まった関係性のわりに案外進行は早くて、次の日から早速一緒に帰り初めてついでに手なんか繋いでみたりして、その2週間後くらいには互いの家を行き来するようになって、その翌週には抱きしめ合う即ちハグまで済ませた。
始まりはなんとなくでも、彼のことは本気で好きで好きでしょうがなかったので、これまでより増えた彼と触れ合う機会にいちいち喜んだものだ。
それから、よしよしこのまま行けばそろそろキスなんじゃないかと安易で下心丸見えな考えは、脆くも打ち砕かれることとなる。
それというのもこの澤村大地という男、唇のガードが異常なまでに固いのである。
処女観念とでも言うのであろうか、中々接吻という行為まで踏み込んでくれない。踏み込んでも逃げられる。
強引に唇を奪おうとした時のあの表情も、それはそれでかなりクるものがあったのだけど、やはり無理強いはしたくない。
大切にしたいのだ。
しかし、いくらこれまで恋というものの経験がなかったとはいえども、いくら不器用なりに大事に大切に使用と思えども、バレーのことばかり考えども。
俺だって男なのだから、することしたいってもんだ。
と、ここまで紆余曲折長々と話してきたが、要約すると「そろそろキスしたい」だ。おわかりいただけたろうか。
これまでの経緯を思い返して改めて決意を固めて、そっと身体を引き離した。涼しくなった胸元がいやにさみしい。
「キス、しましょう」
面食らった顔をした彼は、むむむと眉間にしわを寄せて、腕を組んで正座をして、それでも俺の想いに応えようと、きつく目をつむる。
世間一般が言うようなキス待ち顔、というにはあまりに不格好だけれど、そんな不格好さもかわいいなぁと思ってしまうのは恋人の欲目か。
あんまり待たせても仕方がないので、思い切って唇を重ね合わせた。あぁ、もうすぐ彼の唇と。
ファーストキスは甘いレモン味、
「いっ!?」
「っー!」
なんてことにはならなかった。強烈に激突したことによって、前歯に響くような鈍い痛みが走る。いたい。
「強くぶつかりすぎだバカ!」
「す、すんません!考えてみたら俺キスとかしたことなかったんで!」
「いやそれは嬉しい限りなんだけどさ、もうちょっとこう、優しくだな」
「もっかいチャンスお願いシャス!」
頭を下げると、わかったいいからいいからとぶつけた前歯の辺りをさすってから、改めてキス待ち顔(?)の体制に。きっちり正座しているのがまたかわいらしい。
今度こそとゆっくり近づくと、吐息の音が、気配が近づいてきて、それから柔らかな感触にたどり着くことができた。少し舌を出して形を確認すると、やはり成功していたらしく、唇と唇が重なっている。
やわらかい。レモンのようにすっぱくも甘くはないけれど、なんとなくレモン味というのもわかるようななんというか。
喜んだのも束の間、ここで一つの問題に辿り着く。
(この後どうしたらいいんだ....!)
未だ唇同士は重なったままで、むぐむぐと相手も所在なさげにしている。どうしたらいいのかわからない。とりあえずちろりと舌を出してみる。
上唇と下唇の間にたどり着く。うっすらと口が開いた。
そのまま舌を進めていくと、前歯の一つに突き当たる。右へ左へ一つ一つ歯列をなぞれば、詰まるような声が鼻から漏れた。色っぽい声。
その拍子に開けた隙間から更に奥へと突っ込んでいく。今度は大地サンから舌を絡め取られた。ぬるぬるとこすり合わせて、微かに感じる痺れが頭をとかしていく。
ぼんやりとしたまま後ろに引くと、離れた舌の間を繋ぐ透明な糸がなんとも艶めかしい。ぷつりと切れたそれを追うように下唇をなぞってみたら、くすぐったさに身をよじった。
「....へたくそ」
「え」
「ばーか、べたべただろ」
「すんませ、」
「このばか!」
「あでっ」
額にデコピンして、嫌に上機嫌に、かつ満足げにカラカラと笑う彼の顔は真っ赤だ。
ランナーズハイ、というやつだろうか。
肩口でべたべたになった口元を拭うと、同じように俺の口元も拭った。
ん、と先程と同じように広げられた腕に、こちらも先程と同じようにおずおずと抱きしめた。今度は大地サンもしっかり抱きとめてくれる。
「やっぱ俺はこれが一番落ち着くかなぁ」
それも、わからないことはないのだけど。
でもやっぱりたまには、
「たまに、ならいいかもしんないな」
「えっ」
「なんだよ、嫌か?」
「イエ!したいです!キスしたいです!」
「はは、素直すぎ」
愛情の確認。
はいオチなんて知らない知りませーん終始良くわかりませーん