大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: ハイキューBL ( No.84 )
日時: 2014/08/28 08:33
名前: 鑑識


















1ヶ月くらい経った頃。
そろそろ俺自身が一度すっぱり忘れようかななんて考え始めた、ある日の部活終わりのことだ。

相変わらずどこか怯えた様子の彼から、珍しく声がかけられる。











「ねぇ、木兎さん。ちょっと話があるんです」





沈痛な面持ちで告げたあいつの表情に、蛍光灯の光がいやにさびしく見えた。































呼び出された先は、いつだったかと同じ中庭。

なんとなく2歩3歩距離を離して歩くと、夏だというのにやけに涼しい風が、柔らかいあいつの髪を揺らした。

花壇の側で立ち止まった彼に合わせて、俺も歩みを止めた。その距離およそ腕一本分。







「どした、赤葦」









なんて、聞かなくてもわかるのだけど。









「この間の、えぇとその、告白、の、件です」







あぁ、やっぱり。



思ったとおりの話題のはずのそれはしかし、ずっしりと質量を持って俺にのしかかる。


彼はこれまで、その話題を上げた時には表情をなくしていた筈なのに、それがなんだ、今の彼は、






怯えを、露にしている。








「珍しいな、赤葦からその話題出してくんの」












あぁわかる。わかっている。

彼がこの話にケリをつけようとしていることも。

自分の声にも怯えが混じっていて、それが相手に伝わっていることも。








「あの時は、はぐらかすような真似をして、すみませんでした」




「いんだよ、俺も怖がってたんだ。お前からの答え」




「そう、ですか。それじゃあ、お待ちかねの答え合わせでもしましょうか」







へたくそな作り笑いを浮かべて、慣れないジョークなんて言ってみたりして。

その奥に宿る瞳が、くすんで震えていることなんて、俺にはお見通しなのに。





















「ごめんなさい、木兎さん。俺はあんたと付き合えない」





















その返事だって、俺にはお見通しだったさ。










「あんたとの関係を壊したくなくて、今の楽しい、楽しすぎる時間を失ってしまうのが怖くて、いえなかったけれど」








その理由もまたお前らしいなんて、言葉を発することのできなかったこの役に立たない口は、うまく笑えているだろうか。






「やっぱり、お互い辛いってのは目に見えてましたよね」









木兎さんも、無理して笑ってくれてありがとうございました。

あぁそう、俺の強がりは全部お見通しですか。










「本当に、ごめんなさい。


俺はあんたが、嫌いだ」















言ってから、それはそれは辛そうにうつむいてみせた彼に、俺の中には別の感情がくすぶっていて、たまらなくて、吐き出してしまいたくてでもそれは彼を悲しませてしまいそうで、









あぁもう、






それはさぁ、







なぁ、






「赤葦ィ!!」







驚きに震えた肩を掴んで、前後に揺さぶった。

驚きながらも痛いです、と抵抗する彼の腕は微かに震えて、その震えは彼の喉にまで伝わってしまったみたいで。






「俺が嫌いだってのは、本当か!?本当なら俺はすっげぇ傷ついた!本当ならな!!」




「っ何言ってんですか、俺はあんたが、」





「嫌いだってんなら!!」












掴んだ頬は所謂もち肌という奴で、触れる黒髪はふわふわと心地いい。


そんなひとつひとつまで愛しく思えて、だからこそ彼のことは諦めきれなくて、強引に顔を引き上げた。







ほら、思ったとおりだろ。















「その涙を止めて見せろォ!!!」





















溢れた涙は、重力の赴くままに落ちていく。
























「お前は俺が嫌いだって言うけどさぁ、俺は全然全く、納得行かないね!」



「なん、で」



「だってお前、俺のこと大好きだろ!」










垂れ流しになっていた涙はぴたりと止んで、驚きに満ちた瞳がこちらを向いている。

対して俺は、それはもう自信に道溢れた表情をしていることだろう。












「なんつーかうまく言えねんだけどさ。時々思うんだよなぁ。あ、こいつ俺のこと好きだなって思うことがさ」


「そんなの、あんたの勝手な思い込みじゃ」


「ちげぇよ、ちげぇ。お前は俺のことが好きなんだ」










だってお前、嫌いなやつにはそんな無表情に、辛辣に、素直に接することは無いよなぁ。

一応根拠もあることを示して、しかしきっと納得しないだろうから強引に押し通すことにした。








掴んでいたままの肩を離して、代わりに腰に手を当てて引き寄せる。

油断していたのかすんなりと距離を縮めることに成功して、してやったりの表情を浮かべた俺に、いまツッコミを入れる人はいなかった。

いや、いるけれどそんな余裕はなさげだった。













左手は、本人曰く筋肉のつきにくい、ほっそりとした腰へ。



右手は、ふんわりと石鹸の匂いがする黒い後頭部へ。





強引に顔を近づけると、恐らくなんですかとでも発しようとしたのであろう口はぱくぱくと開閉を繰り返している。

かわいいなぁという感想は胸の奥に閉まって、つとめて真剣な表情を繕った。









「嫌だったら、殴ってでも止めろ」











言葉と共に両腕の力を緩めて、いつでも逃げられるように。











さぁあとは、お前の選択だけだぜ。赤葦。







ゆっくりと顔を近づける。

はじめは困惑していた彼も、ようやく状況を飲み込めたらしく、抵抗を始めた。



俺の胸元に手をやって、引き締まった腕で押しやる。



顔を俯けて、やめて、やめてと懇願しながら、目に涙をためて俺を見る。













ああもう、全然ダメだ、赤葦。















そんな弱々しい力で、








真っ赤に染まった頬で、







期待に満ちた瞳で、







抵抗したところで。




























嫌いだなんて、信じられるわけがないだろ?


























強引なくちづけ。
(それは、愛の確認)



















「なんで断ったりしたんだよ」
「言ったでしょ、いまの関係を壊したくなかったんですよ」
「いやでもさぁ、好きなら断らずに付き合うって言えば、より良い関係になれたんじゃねーの?」
「やめてください、あの時はちょっとおかしくなってたんですよ恥ずかしい」
「うへへぇ、かわいいなぁ赤葦ぃ」
「....それと、ぼくとさんばっかり余裕で悔しかったんです」
「赤葦!かわいいあかあし!!」







なんかもうほんとすんませんもう最後ざっつざつで疲れたんです許してください溶けます溶けます。