大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: カゲプロr18 NLBL大歓迎! ( No.619 )
- 日時: 2016/11/26 23:56
- 名前: 海月
おはようございます
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カノは目の前のカウンター席にちょこんと収まった。ココアでも淹れてやろうか、と棚からカフェオレボウルを取り出す。
「アタリ、か…あぁ、長かったな」
「ほんとほんと。めかくしどおりのヘマトフィリア……ねぇ。この御時世、吸血鬼もご苦労なこったぁ…ふぁあ」
語尾にキレがない。
どうやら眠いらしく、一発欠伸をかましてるカウンターに突っ伏してしまった。
「…おい、カノ」
ふとして、ココアパウダーを煎っていた手を止める。
「その…なんだ、指、大丈夫か?」
聞いていい事なのか、少し戸惑って口にした。
巻きついた絆創膏のガーゼが変色していた。絆創膏の周囲にも薄く血が滲んでいる。
「なんかココアのにおいするー……………ん?あぁ、これね」
ゆるゆると上体を起こし、じっと自分の指を見つめた。
「……ちょっとミスっちゃった。気付いたら、こうなっててさ」
絆創膏はあの子がくれたんだ。
うっとりとしながら話すカノに、「吸血鬼」とやらに対する悪意なんかは感じられない。むしろ魔法が解けた後のシンデレラのような、夢見心地な口調でもある。
「そんな顔しないでよ、シンタロー君のおくすりがよーく効いた証拠でしょう?」
正確にはコノハ君の、だけど。
いけないいけない、忘れるとこだった…と、カノのパーカーのポケットから小さな瓶が表れる。それから一枚の人物写真。
ことん、とすっかりカプセルの減ったそれと写真を傍に置くと、再びカウンターに突っ伏してしまった。
それにしても変な話である。
吸血鬼が絆創膏を与えるなど聞いた事がない。そいつは案外優しいのか、現代の吸血鬼ではそれが当たり前なのか…よく分からないが、ともかくカノが無事でよかった。
くつくつと温まって来た牛乳に、煎り終えたココアパウダーを混ぜる。
カップに注ぐ頃にはカノが伏せたままちらちらとこちらの様子を伺い始めた。猫かよ。
最後に少しだけ砂糖を加えて、スプーンでかき混ぜて…
「わぁ、ありがとう!」
カノに渡した。
ふーふーと何度も冷まし、音を立てて啜って「あちっ」と跳ねるのはお約束だ。カノは冷めるまで待てないのだろうか。必死にちびちび飲んでいるのが面白い。
「……ナニ笑ってるのさ」
「っへ?あぁいや別に」
**
カノのカフェオレボウルの中身が、すっかり空になった。
くだんの吸血鬼について聞き終えた頃だ。
いつも以上に上機嫌なカノはぺらぺらと喋り続ける。
「…………………それで!!僕はついにクロハ君を探し当てた訳だけども!」
「あぁ」
「僕だってタダ働きする訳じゃないの。…まぁやさしいやさしいシンタロー君の事だし、ちゃあんと用意してくれてるよね!」
ほ、う、しゅ、う(はぁと
にこにこにこ。気持ち悪いぐらいの笑みを浮かべてカウンター席から身を乗り出す。思わず退けながら(はぁと)付けんじゃねぇ気持ち悪りぃ」と即返答。まぁ、そりゃこんな奴がいいように使われてはい終わり、と簡単に引き下がる訳がない。
「…って言ってもまぁ、クロハ君と会えたのは結構嬉しかったけど…」
「あ、じゃあいらねぇのk「そういう訳にもいかないからね」はいはい」
「ふふーん、別に体で払ってくれてもいいんだよ?僕シンタロー君とかそこそこ好みだs「やめろやめろやめろ、当たり前だろちゃんと用意してるから。…ほれ」
喫茶店アクター、日替わりランチ6ヶ月無料券。
「6ヶ月…え、えええ?」
「なんだよ、不満か?」
「いや、そうじゃなくて…お、思ったより豪華だなぁー、と」
らしくもなく驚いているようだ。
「当たり前だろ。吸血鬼探しっつったって命懸けなんだし。…ってか、お前みたいな奴がよく帰って来れたな」
「…なにそれ、どういう意味?」
「お前話は上手いけどよ…その話の場合によっちゃあ頭から喰わるんじゃないかと」
きょとん、と目を瞬かせると、ニタァアと一層気持ち悪い顔で話始めた。
「うんうん、機嫌悪いクロハ君はちょっとだけ怖いよ?ちょっとだけ。
でもすっごく可愛いの」
「可愛い?」
コイツが「可愛い」のか。
カノの傍にある写真を手に、改めてまじまじと見てみる。
…何度見てもコノハのツートンカラーにしか見えない。これなら性格も正反対じゃないのか、と疑ってしまう。コノハが「可愛い」に部類されるのは分かるが。
「そういや、昨日の夜の事は全然話してなかったねぇ」
「あなんかだいたい分かったもういいです」
「えええ!帰還兵の武勇伝を聴きたくないの!?」
全くこれだからどーてー君は…と不貞腐れて席を立った。
「…じゃあ、そろそろ帰らなきゃ。ココアごちそうさま、おいしかったよ」
カランカラン____…バタン。
再び静まり返る店内。
「……………クロハ、見つかったってさ。良かったな」
ずっとカウンターの下で体操座りを決め込んでいたコノハに声をかける。
「……みつかった…!!!」
「あぁ、見つかった」
「カノ、生きてた、食べられなかった」
「あぁ、ちょっとかじられてたけど」
…今回、一番嬉しかったのはコノハだったのだろう。
ゆっくりした口調に明らかな興奮のようなものも混じっている。
のそのそと立ち上がると、カノの座っていた席に置かれた瓶を手に取った。
もうあと2、3錠ほどしか残っていない。
「カノ、頑張ったんだね」
オレ達に頼まれてから…もう、1ヶ月は経っただろう。
カノはこれを毎日のように服用し通りに赴いた。そして朝早くに店にやってきて「今日も見つからなかった」と報告を受けて…このサイクルが、当然のように続いていた。
朝寝夜起き、カノの方こそ吸血鬼のような生活を続けてくれたのだ。
「お前もな。毎朝毎朝くっそ早く起きて、店に来てここで体操座り…いくら気になるっつってもキツかったろ」
「んぅ…今日からぐっすりねる…カノも寝れるね」
僕ねむい、はるか来たら起こして…と、眠そうな顔で控え室に入っていった。
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映画見に行きたい…けど行けない…ぐわああ
ブルーレイとか出たら絶対買おう、そうしよう