大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: おそ松さん短編集※カラおそ多め ( No.55 )
日時: 2016/10/26 18:32
名前: やさいとう

カラおそ(神父カラ×悪魔おそ)

※宗教松、結構なパロ、分かりにくいごちゃごちゃとした設定

朝露を浴びた花。

 カーテンの隙間からは朝日が射しこみ、ボロボロのこの教会を小さく照らす。いつものようにクロスを首にさげ、カーテンを開け放つと朝日は美しくこのボロボロの教会を照らした。ほうきを手に持ち埃を掃いて、雑巾を手に持ち床を磨く。綺麗に磨きあがかれた教会を見て、俺は誇らしげに鼻をならした。
 扉の鍵を開けて押すと、ギイィと音をたてて開く扉。そして、足元に目線を落とすと

 いつものように、一輪の花が置かれていた。

 誰が置いたのかは分からない。俺はそれを手にもち、天に掲げる。
「神の御加護があらんことを」
 そう言い終えて、教会の中に入ろうとすると風も吹いていないのにかさりと草木が音をたてた。俺が目線をそっちに移すと、小さな子供・・の悪魔がいた。
 なんでここに入れたんだろうか、とか考えながらもその子の手が視界に入る。その手は黒ずんでいて、よく見れば頬も微かに黒ずんでいた。
 多分、それは土なんだろう。俺はそのこと目線が合うように腰を落とすと、柔らかく微笑んだ。
「いつも、お花をありがとうな」
「・・え、と・・」
 その子はポカンとした表情で小さく震えていた。おそらく封印されるとでも考えているのだろう。
「安心してくれ、危害を加えないような小悪魔ちゃんは封印しないさ、中へどうぞ」
 そう言い、また笑みを浮かべるとその子は安堵した表情を浮かべて微笑んだ。







*







 その日から、俺は毎日その子を招き入れるようになっていた。一緒にクッキーを食べたり、お茶をしたり。他愛のない話をして、平和な日々を過ごした。
 その子は「おそ松」と名乗った。赤いその双眸は確かに悪魔だということを示唆していたが、食べカスを口の周りにつけてにこにこと嬉しそうにしっぽを揺らしているその姿を見ると、悪魔ということは忘れてしまいそうだった。(神父が言うのもなんだが)
「おそ松、口の周りがすごいぞ?」
「え、あ!やっば!神父さんとってよぉ」
「・・全く・・しょうがないな・・」
 食べカスを指ですくってなめとると、おそ松は頬を紅潮させて目を見開く。
「・・?どうしたんだ?」
「ど、どうしたんだじゃねえよっ!な、何やってんのお前・・」
「何って・・おそ松の食べカスおいしそうで」
「・・はぁ、」
 おそ松は頬を赤くさせたまま横を向いて、ポソリとなにかを呟いた。
 なにを言ったのかは俺の耳に届くことはなかった。・・ただ、それ以上は聞いてはいけない気がしてしまって、俺は黙って紅茶を啜った。
 おそ松はやっぱり教会に一輪の花を持ってくる。ただ、その度に黒ずんでくその体に違和感を覚えていた。
「今日はな!この花!」
 おそ松はきらきらとした瞳をして机の上に花を出した。それは黄色のふわふわとした花だ
「これはなんて花だ?」
「えーっと、なんつったかな・・、ミモ、ザワカシア・・?だっけなあ」
 うーんうーんと首をひねるおそ松に俺は微笑む。すると、おそ松は何笑ってんだよといわんばかりの表情で頬を膨らませた。

「花言葉はね、secret loveだよ」

 背後から甘い声が聞こえた。振り向くと純白の羽根をぱたぱたと動かしている天使、トド松がいた。
「ト、トド松・・」
「・・ねえ、神父さんこんな悪魔相手になにやってるの・・?」
 いつもとは違う冷ややかな目線と声に、ゾクリと背筋が震えた。
「・・」
「そいつ、かなりの魔力持ってるよ?・・神父さんなら分かってるでしょ?」
「そう、だけど・・」
「じゃあ、なんで一緒にいるんだよ!?お前は裏切り者だったのか!?」
「ち、違うそんなんじゃ・・、それにこいつは」
 悪い奴じゃない、そう言おうとしたその刹那

 トド松の姿が、消えた。

「・・ふは、天使さんはすげぇなあ。俺の姿見破られちったかぁ・・」
「おそ、松・・?」
 赤く輝く双眸で俺を見つめるおそ松はいつものおそ松の目とは違った。
 いや、体のサイズも、翼の大きさもいつもとは全然違って、俺と同じくらいのサイズになっていた。

 ・・騙されてたんだ。

 そう確信した瞬間、俺は胸に垂らしていたクロスを手に持った。

「おそ松・・!俺を、騙してたんだなっ・・!!」
「っは、騙される方が悪いんだよ、馬鹿な神父さん」
 挑発するようにちろりと舌を出すおそ松に俺は容赦なくクロスをかざした。
「・・封印、すんの?」
「あたりまえだろっ・・!お前は悪い悪魔だ、だからっ・・!」

「できんの?」

 おそ松の言葉に息がつまった。
 腕にはもう力が入らなくて、そのままブランと垂らす。

 できない、出来る訳が、ない。

「俺は、もうっ・・!好きになってしまったんだ・・お前のことを。」
「・・うん、俺も。」
 
 おそ松はふわりと微笑む。でも、その目にはうっすらと涙がにじんでいた。

「・・でも、封印はちゃんとしなきゃ、だめよ?」
「・・残酷だな、好きな奴を封印しろというのか?」
「うん、お前すぐに他人に利用されるから『お兄ちゃん』心配してるんだよ?案の定俺に騙されてるしさあ・・」
「・・え?」
 俺の困惑した声を合図におそ松はくるりと体の方向を変え、横目で俺を見つめた。
「・・頑張れよ、お兄ちゃん、見守ってやるかんな」
 そう言っておそ松は俺に手を差し伸べる。

 その体はみるみる花になって散っていった。

「っ!?おそ松!?」
「へへ、お前のこと心配だからお兄ちゃんの魔力全部やるよ。・・俺は消えちゃうけど」
「な!?ば、馬鹿なことを・・!!」
「いいんだよ、俺はお前と共にずっと・・」

 存在していくんだから。

 そう脳内に響いて、俺は意識を手放した。
 意識を失っているとき、俺は不思議な夢を見た。
 俺とおそ松が双子の天使として神に仕えていたのだ。生まれながらに魔力に恵まれたおそ松と、出来そこないの俺はずっと比較され続けていた。それでも俺とおそ松は仲が良かった。
 おそ松が仕える神様は一流だったけど、俺みたいな出来そこないを雇ってくれる神はそんなに良い神ではなかった。
 こき使われて、死にかけになった俺を見ておそ松は俺に言ったんだ
「倒しにいこうぜ!そいつ!」