織田作side
どれだけ歩いただろうか。
段々足が重くなっていく。
俺は、何も言わぬまま、太宰の後ろに付いて黙々と、ただ黙々と歩き続けた。
ーふと、顔を上げる。
薄暗かった路地を抜け、住宅街を抜け、今は色とりどりの明かりが道を照らすネオン街を歩いている。
ここにはマフィアの監視下の店が多くあり、俺も何度か仕事で面倒事を片付けに訪れた事があった。
太宰が小さな路地へ入る。
俺も、続けて入る。
次の瞬間 俺は、太宰に壁に押し付けられていた。
巷で云う所の壁ドンというやつだ。
その時、太宰が口を開いて………
気づくと、俺は 見覚えのある明るいネオン街を歩いていた。
先程のは、異能力が見せた数秒後の未来だったのだ。
太宰が、小さな路地へ入る。先程みたものと同じ路地だ。
俺は、迷う間もなく太宰の後について路地へ入った。
背中に軽い衝撃。
後頭部を固い壁に打ち、少し目の前が白くなった。
「………ねぇ、織田作。
君なら分かっていたのだろう?
私がこうすると……
………何故、回避しなかったの?」
太宰が顔を上げぬまま、問うた。
「何故、か……」
俺は 考える。
が、理由は1つだった。
「お前が、俺に何かを言いかけた。
それが聞けなかったから、それを聞こうと思った。」
「そうか。…多分、織田作が異能でみた私も、こう言おうとしたんだろう。」
その時、強い風が吹き、太宰の髪が巻き上げられ、表情が見えた。
「……私を、抱いてくれないかい?」
太宰は、静かに泣いていた。
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近いうちに、また投稿します!!