大人二次小説(BLGL・二次15禁)

Re: もっとアイして、コワして。【クロスオーバー/長編】 ( No.17 )
日時: 2016/11/19 16:35
名前: 玄蠢

ー第三話〜前編ー【フランドール】
ーーーーーー

「お〜ねえさまぁ〜?」

一歩進める度に擦れ、チリンとなる羽の宝石。
コツコツと紅い廊下に響く足音。
視界一面に広がる紅。
それら全ては、いつも通り。そう、いつも通り。

「はぁ、何処に行ったのかしら。お姉様ってば…」

“はぁ…”とわざとらしく溜め息を吐いてもお姉様の声はしない。
いや本当、何してるのよお姉様は。
妹との約束を忘れる姉も居るものなのねぇ、暇だし嫌味でも考えとこう。

「...……………ねぇ」

突如として、廊下に広がる低い声。
甘く囁かれる、そんな不思議な感覚を一瞬にして何処ぞの誰かに味わされる。

「……何?」

一拍置き、声がした方向__後ろに振り返る。
……少しの恐怖なのか?私の声が震えていたのは気のせいだろう。

振り向くとジャラランと煩い程に羽の宝石がぶつかり、擦れた。
チリチリチリチリ、音を奏でる様で綺麗だと思うのは最初だけで、最近は
煩わしいとしか感じなくなった。

「ねぇ、君は..何者?その羽、綺麗。..あ、此処って何処?」

声の正体は見知らぬ少年だった。
少年は恐ろしいくらいに口を歪ませて、卑屈で楽しそうな笑顔で問い掛ける。
そんなに、私の事が不思議なのだろうか。

「フランドール・スカーレット。..偉大なる吸血鬼であり、魔法使いよ」

代々受け継がれている挨拶。
優しく、恐怖を感じさせない様な笑みを浮かべてスカートの裾を少し持つ_、
少し顔を下げ、直ぐに顔を上げる。

「僕はA弥。フランドール、だっけ。吸血鬼なんだ、へぇ……」

何かを伝える様により一層口元を歪ませ、ジロリと私を見つめてきた。
……そんなに珍しいのだろうか。

「そうそう、此処は紅魔館よ」
「紅魔館?聞き慣れないな。……さっき誰かを探していたよね?」

A弥は楽しそうな声色で顔に皺を作る。
そして、口元に自身の片手を引き寄せ、うぅんと唸った。
……とても様になっていて、絵に出来そうだ。

「……そうね、姉を探しているの」
「そう、奇遇。僕も親友を探していてね……、良ければ一緒に..」

A弥から差し出された手を私は握った。
つまり、“ok”というサイン。
A弥は再び卑屈な笑みを浮かべる。

「……ねぇ、フランドール。C太って奴、知らない?」
「聞いたこと無いね、じゃあレミリアっていう奴見かけた?」

結局はA弥と人探しをしなきゃいけないらしい。
……目的の人は違うけれど。