大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- Re: 茶髪君と黒髪君。 (BL・オリ・一部18禁) ( No.9 )
- 日時: 2017/09/10 00:50
- 名前: ぽペぽぺ
***
辺りが薄暗くなってきた。
俺は、窓に寄り掛かり、バス独特の気持ちの良い振動を感じている。
気を抜くと寝てしまいそうだ。
暫くそのままでいたが、不意に隣へ目を向けた。
バチッ
すると、向こうもこちらを見ていたらしく、タイミング悪く、バッチリ目が合ってしまった。
…なんだこれ。気まずい。
「はは…なんか、ごめん。」
俺が言うと結城は顔を綻ばせた。
「大丈夫だよ!なんで謝るの(笑)」
……………………………。
あぁ、なんかあれだ。
満員電車で目の前の人と目が合った時の気まずさだ。これ。
…何か、話した方がいいのか?
友達と帰るのなんて何年ぶりだろうか。
あの頃はこんな事を考えることも無くもう少しスムーズに人とのコミュニケーションがとれてた気がする…。
「佐伯ってさ、実家暮らし?」
結城が俺に問う。
「いや?色々あって今一人暮らししてる。
結城は?」
「俺も一人暮らしだよ。」
「そーなんだ…」
「俺達、意外に共通点多いのな。」
同じクラスで同じ町に住んでいる。
中学ではそんな人間はありふれていたが、高校ではなかなか珍しく思える。
それに加えて二人とも一人暮らしときた。
「そうだな。」
俺が答えると、バスの中にはまた、沈黙が流れた。
………………………。
…話題を…出さなければ………
その時
[○○町〜○○町〜]
タイミングよくアナウンスが流れた。
…もう着いたのか。
俺達は、バスを降りると、近くにあった自動販売機で温かい飲み物を買った。
もう春だが、夜には冷え込む。
「佐伯ってさ 帰り道 右側と左側どっち進む?」
「右側真っ直ぐ」
「そっか…」
「結城は?」
「左側」
「ふーん……」
今日三度目の沈黙。
よし。今日家に帰ったら[沈黙 回避]で検索だな。
「じゃあ、もう暗いし帰るか」
結城が缶ゴミをゴミ箱へ捨てる。
「飲むのはえーな…」
「そうかな?(笑)」
あ…また心の声が……
「じゃ、また明日ね、佐伯!」
「うん。また明日。」
また明日…か。
また明日、会えるのか………。
俺は、その日初めて明日の登校が待ち遠しいような気がした。
- Re: 茶髪君と黒髪君。 (BL・オリ・一部18禁) ( No.10 )
- 日時: 2017/09/10 00:55
- 名前: ぽペぽぺ
***
由良side
(以下、指定のない場合は全て由良sideです!)
俺が寝つく頃
母さんは部屋に入ってきて俺の頭を優しく撫でる。
毎日 毎日 俺の頭を撫でる。
母さんは
毎日 毎日頭を撫でながら優しい声で名前を呼ぶ。
「×××……………」
心の底から愛しそうに名前呼ぶ。
でも、
母さんが愛しそうに呼んでいる名前は
「愛してる…×××……………」
俺の名前ではなかった。
「ーーっ!!!」
ガバッ!!!!
目が覚めた。
息が苦しい。
頭がグラグラする。
しばらく、起き上がったまま 動けずにいた。
何分位経っただろうか。
平常心へ戻った俺は、ゆっくりと 真っ暗な部屋を見渡す。
そして、気づく。
自分の目から涙が流れていることに。
(俺は…まだ、囚われてる………?)
(忘れなくちゃいけないのに………)
(もう、忘れた気でいたのに……………)
俺の目から落ちた涙は、行方も分からず、ただただ暗闇へ落ちていった。
〜〜
(あれから…一睡も出来なかった…………)
いつもの騒がしい教室。
俺は、一人文庫本を開き、大人しく椅子に座っていた。
眠気とダルさの所為で、本の内容が全く頭に入ってこない。
おかげで本を開いてから10分程、俺は、同じページの文章をいったりきたりしている。
……………こんなに時間を無駄にしている男子高校生俺以外にはいない気がする。
「佐伯ーおっはよーー!」
肩を叩かれ、手に辛うじて引っかかっていただけの本が、パタンッと机上に閉じた。
「あ…ごめん。
栞…挟んでなかったよね…………」
謝ってくる結城。
「おはよう。
全然大丈夫。
…内容ほとんど頭に入ってきてなかったし……これを機に、もう一回読み直してみるよ。」
「そっか…良かった。」
朝から頂きました。
爽やかな笑顔。
「結城ーーーー」
クラスメイトが結城を手招く。
「あ…ごめん。
ちょっと行ってくる!
放課後、図書室ね!!!」
それに気づいた結城は、早口でそう言うと、「何ー?」と言いながらクラスメイトの方へ行った。
……もう一回、文庫本、最初から読み直すか。
俺は、机でじっとしている本を手に取り、表紙を開いた。
- Re: 茶髪君と黒髪君。 (BL・オリ・一部18禁) ( No.11 )
- 日時: 2017/09/10 00:57
- 名前: ぽペぽぺ
〜after school〜
キーンコーンカーンコーン
校舎に、授業からの開放を知らせるチャイムが響き渡る。
俺は、大きな伸びをすると 朝から読み直し、やっと半分まで進んだ文庫本と、教科書と参考書を鞄へ入れ、席を立った。
〜〜
図書室へ行くと、いつも通り、そこには人の影は無かった。
俺は、昨日と同じ、奥の方の席を選び、座る。
結城はまだ来る気配がない。
俺は、鞄にしまった文庫本を取り出すと、栞の挟んである頁を開き、読み始めた。
〜〜
「佐伯ー……佐伯ーーー!」
ん……?誰かが俺を呼んで………?
「由良………」
ガバッ
勢い良く飛び起きる。
………ん?飛び起きる?
「俺……寝てた?」
「お、おう、そりゃあぐっすり……
俺が来たのにも気付かない位にな。」
ま、まじか…………勉強教えてもらってる立場でなんてことを……
「ごめん…」
「いや、いいよ。
確かにここ、日当たり良くてポカポカだしな…許してやる。」
ニカッと笑う結城。
あぁ…眩しい………
「さーて!勉強しよっか!
手始めに…………………………
今日、返された英語の単語テスト…見せて?」
………俺が何も言わずその小さな紙を見せた瞬間、結城の顔から笑顔が消え去ったのは 言うまでもない。
〜〜〜〜