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視点・セト

ガチャッ、とドアを開けて部屋に入る。

「！セト…！」

明らかに今、表情をつくった
その微妙な笑顔を貼り付けたまま

本当は今どんな顔してるんすか？
俺を疑ってる？それとも、ただ恐怖に怯えてる？
…もしかして、俺が来たことを素直に喜んでる？
それとも…？

『カノ…起きたんすね』

「あ〜…うん、まあ。…あの」
『カノ…最近俺のこと避けてなかったっすか？』

カノが言葉に詰まる。

きっとその笑顔の下で困惑してる、
[何で今そんな話？]…とか。

「はぁ…？別に、そういうつもりじゃ…」
『“そういうつもり”…って？
…避けていたことは認めるんすね』

カノにしては珍しく動揺している、と思う。
まあこんな状況だし…

「…あ、あのさ…？…コレ、外してくんない？」
へらへらした態度で、さも軽い話を装って。

『…そんなこと許さないっすよ』
一瞬カノの表情がひきつったように見えた。

『だって…ここに連れてきたの、俺っすから…♪』

へらへらしたまま固まるカノ。
他人が見たら、さも不気味だろう。

今あの笑顔の下で絶望してるのかと思うと、
俺が、他の誰でもない
俺が変化をもたらしているのだと思うと
言い様のない一種の幸福が俺を満たす。

「……何で、こんな…！…今すぐ外してよ」
その声や口調と食い違っている表情。

『カノ…俺の前では、欺かなくていいんすよ…？
この部屋に、俺とカノの“二人っきり”っすから…』

そう、ずっと。
ずっと、二人っきりでいよう。
誰も助けに来ない、助けになんか来させない。

俺の、……俺だけのカノにしてしまえばいい。


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