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視点・セト

抱きしめたカノの体が小刻みに震え出す。

『…ねぇカノ…、怖いんすか？』
正面から顔を覗きこんでも、その本性は見えない。

「…別に？…怖いなんてこれっぽっちも____」

『……嘘つき』
両手を首に添えて力をこめる。

「ぐッ？！…うぅ…は、ッ……あ…！」
一瞬へらへらした表情が歪み、
苦し気な表情に変わる。

カノはバタバタ暴れたが、日頃からバイトしてる俺には、
押さえつけるくらい何てことない。

俺の手の下で、白い、細い首が脈打っている。
足りない酸素を求めて、口をぱくぱくと動かすカノの
顔に浮かんだそれはただ“恐怖”。

「は…ッ…あ……セ、ト…ッ…！」

殺しては意味がないから。
ギリギリ息が出来る程の加減はしている。
痛みや苦しみで欺く能力が解けるのなら、
それが恐怖だって怯えていたって別に構わない。

カノが誰にも見せない姿を、
俺だけが知っていればそれでいい。


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