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視点・カノ

『は…ッ…あ……セ、ト…ッ…！』

苦しい。
耳鳴りがして、顔が熱くなる。
手は縛られていたし、足も押さえつけられてしまった。

セトは、ただ平然と、僕の首に力をこめる。
その冷たい目に、苦しむ僕が映っていた。

これでも、わざと息が出来るように加減しているんだろう。
セトの腕力なら、僕を気絶させることぐらい出来る。

ふっと手が離れ、僕は咳き込んだ。

セトは、そのまま倒れこんだ僕のあごを掴んで
「…次は許さないっすよ？」
と言った。
冷たい、射抜くような目。

『はっ…ん、う……ぁ…』
セトは、僕の息が整う前にキスをしてきた。
酸素不足でぼーっとなった頭に卑猥な音が響く。

セトは僕より腕力もあるし、運動神経もいい。
それに、本人は使いたがらないが
目を盗む能力で、僕が何を考えているかなんて
すぐに分かってしまうだろう。

もはや、抵抗する気力も、方法も
残されてはいなかった。


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